最近における外国人技能実習生の労働条件確保のための 監督指導及び送検の情況

 つい先日、11月8日に熊本県で中国人研修生(22歳)が自殺したとの報道がありました。ただ、自殺しただけではなく第2次受け入れ機関の農家の夫婦が死亡しており、さらに後1名が意識不明の重態で倒れていることから、警察は殺人事件として調査しているとのことです。この研修生は今年の6月に来日してまだ日が浅く、連日早朝5時から深夜まで働いていたとか、怒鳴られていた、同僚の誕生会への出席を巡っての行き違いなど報道されています。まだ何が原因不明ですが、平成18年には木更津で中国人研修生による殺人事件が発生しています。事件の背景には同じような問題があるのかもしれません。共通しているのは研修生には認められていない残業が行われています。それに対する残業代が最低賃金+割増賃金で支払われていたのでしょうか?
 8月には茨城県の会社で働いていた中国人技能実習生(31歳)が急性心不全で死亡したのは長時間労働による過労死として遺族が労災申請をしています。研修生時代から月100時間を超える残業を行い、技能実習生になってからは月150時間の残業であったそうです。
 9月には徳島県の木材会社で中国人研修生が機械に腕を巻き込まれ切断した事故に対して、残業もしていたことから、原告側は「実体として研修生ではなく、労働者だった」と指摘し、「仮に労働者でない研修生であるとしても、安全配慮義務は免れないばかりか、むしろ労働作業を安全に行うことが出来ないと推測され、義務はより強度なものになる」として安全配慮義務違反として損害賠償請求を起こしています。
 問題が起これば強制帰国させてしまうという現状があり、これらは氷山の一角でしかないといえます。こうした背景には研修生・技能実習生制度の本来の趣旨が無視され、制度を利用して低廉な労働力を確保する制度となっている現状をよく示しているといえます。労働基準監督署が積極的に解決しようとすればかなり改善されると思いますが、情報提供しても無視されるのが現状でしかありません。そうは言いながらも労働基準局は、今年の8月に「外国人技能実習生の適正な労働条件確保に重点的に取り組んでいるところであり」として、その結果を「最近における外国人技能実習生の労働条件確保のための監督指導及び送検の情況」(H21.8.7)として実績報告をしていますのでこれを紹介します。これらの文言からお分かりのように研修生は労働者ではないため労働基準監督署の管轄外として無視されています。実体は研修生という名の労働者でありながら実態から目をそらしているから冒頭のような問題が発生せざるを得ないのかもしれません。


1.監督指導情況
平成16年
平成17年
平成18年
平成19年
平成20年
実施事業場
630
906
1,633
2,633
2,612
  違犯事業場
513
731
1,209
1,907
1,890
  違犯率
81.4%
80.7%
74.0%
72.4%
7204%

 外国人労働者に対してはこうした情況が当たり前と考えてもいいのでしょう。一部には素晴らしい会社もありますが・・。


2.20年度の主な違犯内容
主な違犯内容
違犯事業乗数  (違犯率)
労働時間労基法第32条
816
(31.2%)
割増賃金不払労基法第37条
696
(26.6%)
賃金不払労基法第24条
430
(16.5%)
労働条件明示労基法第15条
289
(11.1%)
寄宿舎関係労基法第96条
188
( 7.2%)
安全衛生関係安全衛生関係
780
(29.9%)
最低賃金最低賃金法第4条
182
( 7.0%)

具体的な内容は分かりませんが、労働時間については、日曜日以外は労働日とされている例があります。また「労働日数にかかわらず月額8万円」との例もあります。この場合最低賃金法違反にも関連します。寄宿舎関係については施設や設備の不備、門限の問題など規則不備などでしょうか。現実には6畳一部屋に4人住まわせ、一人から3万円徴収している例などがあります。労働条件明示書については入管用と入国後のものが異なっていたりしますが、労基署では把握していないと思います。


3.技能実習生からの申告
平成16年
平成17年
平成18年
平成19年
平成20年
48
126
232
327
331
平成20年度
の申告内訳
賃金不払
解雇予告等
労働時間等
最低賃金
283
30
9
63

 申告とは、労基法違反に対する本人から是正の申出です。違犯事業所の実態から見るとこの件数は極端に少ないと言わざるを得ませんが、日本の労働法を知らないことやどこに訴えればよいか分からないためといえます。中国人研修生がどうしようもなく
 この発表資料には、送検事例が4件紹介されており、具体的な内容を知ることが出来ますのでご参照ください。
( http://www.mhlw.go.jp/za/0807/d11/d11.html)


4.広島県内での相談先
(1) スクラムユニオン・ひろしま・働く者の相談室 ひろしま
   〒732-0057広島市東区二葉の里1-3-16 吉村ビル3階
   電話/Fax 082-262-3751 Eメール scrum_u34@ybb,ne.jp  http://www.geocities.jp/rosohi

(2) 働く者の相談室 くれ  〒737-0821 呉市三条4丁目6-8-201号 電話/Fax 0823ー21-7875
                  Eメール yuusin@go4.enjoy.ne.jp
(3) 福山ユニオンたんぽぽ  〒720-0065 福山市東桜町10-1  084-928-5055
(4) 小松社会保険労務士事務所 〒734-0045 広島市南区西本浦町14-11-511 携帯 090-7590-0215
                e-mail k.komatsu@do.enjoy.ne.jp http://srkomatsu.hp.infoseek.co.jp/