健康診断に関すること

 新年度に入り、定期健康診断を実施されている時期ではないかと思いますので、今回は、健康診断についてみていきたいと思います。
健康は、私たちが生きていくうえで最も大切なことだと思いながらも、なかなか注意して自己管理していくことが難しい問題です。一方、事業主にとっても健康管理は第一に注意すべき事項ですが、安全管理にばかり目が向き、なおざりにされる傾向があります。交通事故にしても、労働災害にしてもその原因の大半は一寸した気の緩みではないでしょうか。そうした気の緩みは本人の安全に対する心構えの問題もありますが、いくら注意していても事故は発生します。事務屋さんにとっては、誤字脱字、数字の桁違い、商品名の誤記などが事故となります。入札で一桁間違えてしまえば、会社の死活問題ともなりかねません。こうした事故が発生する原因の一つに精神的・肉体的な問題があろうかと思います。また、過労死という問題もあります。過労死ということになれば、労災給付の対象となり、事業主の健康管理責任の問題が発生することとなります。労使ともに健康管理は重大問題であるため労働安全衛生法ではいろいろな健康診断を事業主に義務付けており、また、労働者にも受診する義務を負わせていますのでその内容を見ていきます。

1.採用時の健康診断
 採用時の健康診断は、採用を決定した後に実施するもので、採用の可否の判断材料とするものではありませんので注意が必要です。実施対象者は、原則、期間の定めが無い労働者や1年以上雇用する労働者であり、1週間の労働時間数が所定労働時間の3/4以上である者が対象となります。検診項目は安衛則第43条で定められています。

2.定期健康診断
 常時使用する労働者に対して1年に1回(深夜業等特定の業務は6月に1回)実施する必要があります。検診項目は安衛則第44条で定められており、塩酸・硝酸等を扱う業務では歯科医師の検診も必要になります。

3.海外派遣者の健康診断
 海外に6か月以上派遣する場合、及び海外に6か月以上派遣した労働者が帰国した場合に実施する必要があります。検診項目は、定期健康診断の項目プラス大臣が定めた項目から医師が必要と認めた項目が対象となります。

4.結核健康診断
 定期健康診断等の結果、結核発病のおそれがあると診断された場合には、検診後6か月後に実施する必要があります。検診項目は、XP直接撮影とかくたん検査、聴診、打診その他必要な検査です。

5.特殊健康診断
 特定の有害業務に従事する者でそれぞれの法律や規則によって義務づけられている健康診断です。たとえば、放射線技士であれば、採用時、配置替のとき、6か月以内ごとに1回、指定された検診を実施する必要があります。

6.その他
 VDT作業に従事する者については、指針により、連続作業時間は1時間とし、10〜15分程度の休止時間を設けることや、定められた項目の健康診断を定期的に行うよう定められています。また、定期健康診断で、脳・心臓疾患の発生に関連する検査項目(血圧・血中脂質・血糖・肥満度)の全てに以上があり、脳・心臓疾患の症状の無い者には、労災保険給付として「二次健康診断等給付」の制度がありますのでこれに該当する二次検診の費用が給付されます。

 以上の検査の結果については、本人に通知する義務があり、「健康診断個人票」に記載し、5年間保存する必要があるとともに、50人以上の事業場では、2と3の検診は、労働基準監督署に結果報告書を提出する必要があります。