労働保険料の計算・納付に関するお話し

 労働保険とは、ご存知のように労災保険と雇用保険とを指しています。労災保険(注1)は、業務上や通勤途上の災害が発生したときに医療費、休業補償、後遺障害が残った場合の障害補償としての一時金や年金そして不幸にして亡くなられた場合の葬祭料などの保険給付や労働福祉事業として保険給付に付随した給付また亡くなった労働者の子供の就学への援助制度や企業が倒産し未払い賃金がある場合の未払賃金の立替払いなどの事業をおこなっています。一方、雇用保険は、労働者が失業した場合の給付だけでなく在職中また離職後1年以内に厚生労働大臣が指定した講座を受講すれば費用の一部が給付される教育訓練給付金(注2)などの給付も行っています。  こうした費用をまかなうために当然保険料が徴収されることになります。保険料の額は「賃金×保険料率」で計算されており、その保険料を負担しているのは誰かというと、労災保険料は全額事業主が負担し、雇用保険は事業主と従業員が折半して負担しています。従業員は毎月の賃金から控除されますが、事業主は事前に1年分の保険料の見込み額(概算保険料)を支払い、年度が終了した後、前年度に確定した賃金を基にして保険料を確定(確定保険料)させ、支払済みの概算保険料との精算を行い、また翌年度の概算保険料(原則前年度の確定保険料と同額)を支払うといったことを毎年繰り返しています。この手続きは、毎年、4月1日〜5月20日の間に行っておりこれを「年度更新」と呼んでいます。

 保険料の額の計算は「賃金×保険料率」と述べましたが、賃金については、労災保険と雇用保険とでは対象となる賃金の額が違ってきます。労災保険では正規の従業員だけでなくパ−トやアルバイトを含めたその事業所に使用される全ての従業員が対象になりますのでこれらの方に支払われた賃金も併せて集計します。一方、雇用保険は、雇用保険の被保険者だけが対象となるので、雇用保険の資格取得手続きがなされている方だけの賃金を集計することになりますが、保険料計算年度の4月1日現在64歳以上の被保険者については、保険料が免除されるので集計から外すことになります。
次に、保険料率については、業種に応じて違っています。労災保険は「5/1000〜129/1000」の間で細分化されていますが、雇用保険は「17.5/1000,19.5/1000,20.5/1000」に分かれていますが、申告書に記載されています。ただ、労災保険でいうところの建設業とは、建設業法で言う建設業と同じではないので注意する必要があります。たとえば、測量・調査設計の会社がボ−リングを行って調査した場合は、その部分については建設事業に該当してしまい保険料率が跳ね上がることになります。

(注1)
 労災保険は、事業主や役員は対象となりませんが、中小企業の事業主また個人タクシ−の事業主さん等も特別加入という制度を使うことによって労災保険の適用をうけることができます。当然、お医者さんであってもおなじで、往診や他の病院に手術に行く機会が多かったり、自宅と診療所間の通勤がある場合には特別加入されることをお勧めします。ただ、特別加入する場合には、労働基準監督署に直接手続きをするのではなく、労働保険事務組合(医師会などの関連団体また社会保険労務士)を通じて加入することになります。
(注2)
 教育訓練給付金の受給対象者は、被保険者期間が3年以上5年未満の人はかかった費用の20%(上限10万円)、5年以上の人はかかった費用の40%(上限20万円)が給付されます。