知っていますか労働の法律!! 

     派遣労働者をめぐる問題-1 雇用保険の被保険者となれない?
 

   現在の労働市場には、正職員、嘱託、パ−ト、アルバイト、派遣社員などいろいろな就業形態があります。中でも派遣社員の場合は、雇用契約を結び賃金をもらうのは派遣元であり、指揮命令を受けて仕事をするのは派遣先と異なっていることや、常用型派遣労働者と登録型派遣労働者という区分があることからいろいろな問題が発生してきています。特に登録型派遣労働者については派遣会社が「日々雇用されるもの」として社会保険や雇用保険の適用をしていなかったり、年休を与えていなかったり、賃金不払い、事務処理が面倒だからとして源泉徴収票を市町村に送付しないなどの問題があるようです。
 今回取り上げる話は派遣労働者として働いていた私の子供の雇用保険受給に端を発した問題です。調べるうちに個人的な問題では済まされない、組織的また全国的な問題点があるようなので取り敢えず経過を報告します。

勤務の概要を説明します。
1. 派遣元は東京に本社のあるグッドウィル広島駅前支店
2. 派遣先は安佐北区のヤマダ電機
3. 勤務期間は16年2月?日から17年6月25日までの約1年4ヶ月
4. 勤務形態はヤマダ電機のシフトに組み込まれた1日8時間週休2日の勤務体制残業有
5. 賃金は10日に銀行振り込み
6. 退職理由は全面的に午後からのシフトになったため広島駅から自宅までの最終バスに間に合わず、タクシ−代の支給を求めたがそれが支払われないため
7. 社会保険は加入済みであったが、雇用保険は未加入(離職票がもらえないため職安で確認)
8. 給与明細・源泉徴収表は配布されていない。

   以上のような勤務状況であり、社会保険には加入していました。当然のこととして雇用保険がもらえるので、併せて職業訓練も受けるように勧め、離職票をもらうようにグッドウィルに連絡させたら責任者がいないので分からないと先に進まないため、ハロ−ワ−クに行かせたところ、広島駅前支店は適用事業所になっておらず本社の所在地を管轄する品川のハロ−ワ−クからの回答として、「登録型の派遣労働者は「日々雇用される者」だから雇用保険の対象にならない」とのことで門前払いを食らって帰ってきました。上記のような実態から当然適用になるはずと翌日同行し、再度調査して回答をもらうこととしました。回答が来るのはこの機関誌が発行された後になると思います。

 「日々雇用される者」は雇用保険の対象にならない」との説明は理解できます。確かに雇用保険法は「日々雇用される者」は適用除外としています。ただ、それも30日以内の期間を定めて雇用されるものに限られていますし、前2月の各月に18日以上同一の事業主に雇用されている場合には「日々雇用される者」であっても雇用保険の被保険者になるとしています。登録型派遣労働者には臨時的なイベントに従事することを中心している人もいるでしょうが、大半は同一の派遣先で長期にわたって労働しているのではないでしょうか。雇用保険の資格取得時の添付書類として雇用契約書の添付が義務付けられているため雇用形態が「日々雇用される者」とされておれば雇用保険の資格取得は出来ないことになってしまいます。従って派遣会社が登録型は「日々雇用される者」と定義して就業規則にも、雇用契約書にも記載してしまえば表向きは雇用保険の被保険者にしなくても良いということになります。ハロ−ワ−クは被保険者にしてもらえないとの苦情に対して、電話で事業所に確認し、このように回答されたとして門前払いをしているのが現状です。もしそうであれば雇用保険の知識のない派遣労働者はあきらめざるを得ないといえます。ハロ−ワ−クの窓口がこうした問い合わせに対して就業実態を真剣に聞き取り、確認請求があること、またその先には審査請求の方法もあることなどを説明する義務があるといえますが実態は門前払いであり、どれだけの派遣労働者が涙を流したのだろうかと嘆息せざるを得ません。

 問題は雇用保険だけにとどまってはいませんでした。同じグッドウィルの他の支店からヤマダ電機に派遣されていても皆勤手当が支給されたり、支給されなかったりの実態があります。私の子供は支給されていないので問い合わせたら支店ごとに違うとの回答だったとのことです。皆勤手当は賃金規程で明確に定められているはずです。適用事業所にもならない支店ごとに就業規則は無いでしょうから、本社が定めた就業規則に従っていると思います。さらに、ヤマダ電機の昇級試験に合格すれば賃金が上がると採用時点でグッドウィルからもヤマダ電機からも説明されているにもかかわらず数度の昇級試験に合格しても昇給していません。この2点は賃金の不払いということになるでしょうから労働基準監督署に申告手続きを取ることとしています。

 皆勤手当の問題から、グッドウィルでは、同じ勤務形態でも賃金を振り込みによりもらう者と自分が会社に随時もらいに行く者と二手あることが分かりました。要するに振込みの者は社会保険に加入したい者、それ以外は社会保険に加入したくない者といえます。ひょっとすると社会保険に加入しない者に対して皆勤手当が支払われているのではないかとも推測できます。

 この問題を調べているうちに給与明細を一切もらっていないこと、また源泉徴収票をもらっていないことから所得税と市民税がどうなっているのか疑問になってきました。市民税は、普通であれば事業主に通知が行き、賃金から控除されますが、「日々雇用される者」として処理しているとすれば市民税は個人宛に納付書が送られてくるのだろうと思いますが、送られてきた記憶がないので区役所に出向き確認すると課税対象となる所得は一切ないとのことでした。要するに、源泉徴収票がグッドウィルから広島市に送られていないということになります。提出漏れなら問題も少ないかもしれませんが、意識的に提出しておらずまた全国の派遣会社が同じようなことをしていたら未徴収の市町村民税は凄まじい額になると思います。行政側に所得の把握が出来ていないのであれば悪知恵を働かせて高額な賃金を得ながら生活保護を受給することも可能となってしまいます。また源泉徴収票がもらえないということは確定申告が出来ませんので所得税の還付請求も出来ないという問題もあります。しかし、所得税の還付額よりは、市民税の方が高額でしょうし、税務署に訴えても問題ともしてもらえないでしょうから、何もしないのが得策かもしれません。

 簡単に済む雇用保険受給の手続きがこのような大変なことになってしまいました。相手が渡してくれた石を捨ててしまうわけにもいかないし、池の中に投げ込むためには実例を集めなければなりませんし、もう少し手のなかに置いておきましょうか。こうした問題に直面している方の情報をいただければ幸いです。


派遣労働者については下記のサイトが役に立つと思います。
  派遣労働者の悩み110番 http://www.asahi-net.or.jp/~RB1S-WKT/indexhkn.htm