外国人の雇用を巡って
不法就労・不法就労助長罪・外国人雇用状況の届出


 外国人の雇用を巡っては注意すべき点が少なくありません。技能実習生の雇用関係をみても法律ではっきり書かれているにもかかわらずその適用が現実には認められていないと言う重大な問題もありますし、指針や法律に違反すれば罰則の適用を受けるということもあります。私たちはどちらかと言うと自分に都合のいいように解釈しているところがあるため突然こうした罰則を受けたと聞いて驚くこともあります。同時に、文言化されていない事を逆手にとって法律にはこう規定されていると勝手なことを言ってくる人たちもいます。知った上で虚言を吐くのは問題外として、やはり法律を知っておかなければ思わぬ損害を被ることもあります。そんなものの一つに不法就労の問題があります。事後的に相談を受けても警察に簡単な状況を確認する程度のことしかできず、後は、家族から事後経過を教えてもらうだけの話で、あまり関心もなかったのですが不法就労と罰則について整理してみました。

 外国人からの相談を受けていると、専門外の在留資格やDVと言った問題また不法就労で警察に捕まったとの話しや、偽装結婚がらみの相談も飛び込んできます。労働問題以外の知識の持ち合わせはないものの相談が来れば断るわけにもいかず、というよりも興味を引かれてクビを突っ込んでしまいます。その結果、なかなか知り得ない世界を知ることができるのは面白いと言っては怒られますが、そう言わざるを得ない世界が私たちの身近にいる外国人の中には普通にあります。そうしたものの一つに不法就労の問題があります。不法就労については本人や身近にいる人の口から聞こえてくることはまずありませんので警察に捕まった後からの話しとなり、相手のストレス解消のために話しを聞くだけといえます。ただこうした相談は不法滞在している人たちについてのものではなく。短期の在留資格で家族訪問して来た人たちが不法就労して捕まったと言う話しです。

 最近相談があったものの一つは、お姉さんの所に来たついでに水産業でアルバイトしたら、本当の所は分かりませんが、お姉さんと仲が悪い人が警察に通報したというものでした。あと一つは、たびたび短期在留資格で来日していることに疑問を持った入管にマークされて捕まったと言うものでした。

 短期在留や留学のように労働が認められていない在留資格の人が労働すると入管法違反の罪に問われます。入管法も労基法と同じように罰則規定が設けられています。ただ違うのは、労基法違反で罰則が起用されたという話を聞く事はまずありませんので違反しても特段心配する必要がないのですが、入管法については確実に罰金が科されることになり、帰国させられることになります。このあたりのことは理解されているため関係者が口にすることは無いのでしょう。

 外国人が来日する時には日本での活動に見合った在留資格が与えられ、それ以外の活動は禁止されます。また留学や観光などの在留資格は労働すること自体が認められていません。しかし留学については入管の許可が得られれば一定の制限の下で労働することは認められています。これに違反すると第70条の規定「三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。」に基づいて罰則が適用されます。同時に雇用した会社に対しても罰則(不法就労助長罪)が定められています。

第73条2
「次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者」

 先の例でも会社に50万円、本人に30万円程度の罰金が科されたと聞いていますのでこの辺りが一般的な額なのでしょうか。

 余談になりますが、不法就労をあっせんした者にも罰則が定められていますので偽装結婚させて自分のバー等で働かせている場合はこれに該当するのでしょうが、偽装結婚と認定するのは非常に難しい為、第二十二条の四の第7号の規定に従がって、日本人の配偶者等で6か月以上その配偶者としての活動をしていない場合には在留資格が取り消され、第24条により退去強制となります。この場合、第5条第9項の規定によってはじめての出国命令受けた者については5年間(2回目以降は10年間)日本に入国することが禁止されます。この辺りは不法就労者にとっても同様の話となります。

 ちなみに、退去強制命令が出る不法行為を行なっている者を通報し、退去命令が出ると5万円以下の報奨金を支払うとの規定(第66条)もあります。実際どの程度の不法就労者がいるのか分かりませんが、正規に入国した人で在留資格の更新をしないまま日本に住んでいる外国人は下記【表1】の人数となります。

 外国人は、「不法就労はいけない。捕まれば帰国させられる。」とのことは十分知ってはいても「分かる訳がない」といった軽い気持ちで働いていると思います。しかし雇い主は入管法や労働法の知識もないまま当然こうした罰則についても知らないまま外国人を雇用しているのが現実でしょうし、日本人の働き手がみつからないためと言う面もあるのかもしれません。その結果が罰金を科されることになりますし、技能実習生を雇用していれば受け入れ停止となり大きなダメージを受ける結果ともなります。

 こうした不法就労外国人をなくすため雇用対策法が改正され平成19年10月1日以降外国人を雇用した全ての事業主にその旨届出ることが義務付けられています。届け出る先はハローワークとなります。雇用保険の適用事業所だけが対象ではなく雇用保険と無関係な事業所も含めた外国人を雇用する全ての事業主に義務づけられています。このことに関しては、「外国人雇用はルールを守って適正に」というパンフレットが作成され、在留カ−ドの見方、各在留資格の説明や届出様式などが示されています。ちなみにこの届出をしなかったり、虚偽の届出をしたら30万円以下の罰金が科されることになっています。

 一方、入管の関係を見ると、「外国人を雇用する事業主の皆様へ 不法就労防止にご協力ください。」というリーフレットを作成しています。こちらはどのような場合不法就労となるか、また先に述べた罰金等、そしてハローワークへの届出義務について触れられています。

 何れの場合も、不法就労であるかどうかをどのようにして判断するのかといった観点から観光等の短期滞在以外の外国人なら必ず持っている「在留カード」の提示を求める事、そして「在留カード」に記載されている在留資格によって就労可能か否か、また留学生等「就労不可」記載されている場合には、裏面に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」とあるか否かの確認、最も大切なのはその「在留カード」が有効期限以内であることの確認といえます。

【表1】 (入管の調査:平成27年1月1日現在)
 
不法在留者数 (60,007人)
在留資格別不法在留者数 (60,007人)
国 籍
人 数
構成比
前年比
在留資格
人 数
構成比
前年比
韓国13,63422.7-4.2短期滞在41,09068.5-0.8
中国8,64714.44.7日本人の配偶者等3,7096.2-0.3
タイ5,2778.820.2技能実習生2号ロ2,8314.766.6
フィリピン4,9918.3-2.5留学2,8064.71.0
台湾3,5325.9-0.7定住者1,8893.1-3.3
ベトナム2,4534.166.8その他7,68212.82.3
マレーシア1,7883.0-1.7

【技能実習生の失踪者数】23年1,115人 24年1,532人
 25年2,822人 26年4,851人
※ 上記のの人数と比べると
 ほとんどが帰国しているようです。
失踪理由は??

インドネシア1,2582.114.7
シンガポール1,0661.8-1.2
10
ブラジル9881.6-2.5
 
その他16,37327.3-3.8