厚生年金脱退一時金でのトラブルから



 厚生年金脱退一時金は日本人には関係なく、厚生年金に加入しながらも受給権を得る前に帰国する外国人の保険料の掛け捨てを防止するため設けられています。従って帰国したあと母国から請求すれば納付した保険料の一部が還付されるというものです。日本と社会保障協定を締結した国の人たちは、日本で加入して支払った保険料は母国で支払ったのと同じ効果を発揮するので脱退一時金は関係ありませんが、締結されている国はアメリカやイギリスなどの16か国しかなく、技能実習生達の出身国とは締結されていません。
 昨年の夏以降、フィリピンに帰国した技能実習生から厚生年金脱退一時金に関する問い合わせが幾つか舞い込んできました。年金センターの手続に時間がかかるのを待ちきれないものもありました。相談して来た人達は、残業代の問題で勇気を出して会社に申し入れをした人たちなど私と親密な関係にあった人達やその友人でした。一件を除けば同じ協同組合に属していました。こうしたトラブルがどの程度あるのか何とも言えませんが相談先もなく諦めている人たちも少なくないと考えられます。これまでの状況を簡単に報告します。
 昨年24年7月から現在(3月9日)まで脱退一時金が振込まれないとの相談が5件と脱退一時金で徴収された20%の源泉徴収税(4万円前後)の還付請求依頼が2件4人分です。
 まず相談がどのような形であるかというと全てフェイスブックを通じての連絡です。直接私にある場合と誰かを介して連絡がある場合とありますが、最初の一件を除けば直接私に連絡がありました。
 年金の相談となると年金事務所に出向いて調べてもらうことになりますが、そのためには基礎年金番号と正確な氏名と生年月日とどこに住んでいたかなどが必要になるため脱退一時金申請書と添付した書類一式のコピーを送ってもらっています。これらが絶対に必要というわけではありませんがあった方が話がしやすいといえます。但し、絶対に必要な書類は私に対する委任状です。
 最初の相談の時、街角の年金センターに行くと、東京のセンターに連絡してくれて書類不備があったため遅れており、来月振り込む予定になっているとのことで簡単に解決しました。次に相談のあった件も簡単に解決はしましたが、問題がないともいえない状況でした。年金保険料の納付期間がないとして不支給決定通知書が本人たちに送られていました。この不支給決定通知書は私の所に送られてきておらず、相談に行って初めて分かりました。年金センターでは保険料納付済み期間のある本人と同じ名前の基礎年金番号があるのを把握しており、本人に問い合わせの手紙を出したが回答が白紙で帰ってきたので不支給決定したとのことでした。本人に確認したところもう一つ手帳があることが判明し、この基礎年番号が確認できたので再度申請することなく支払い手続きを取ってもらうことが出来ました。技能実習生が二つの年金手帳を持つことなどありえないはずですが、この協同組合では同じような問題がほかでも発生していました。研修生の時に免除申請した年金手帳を会社に渡さなかったためのトラブルと考えられます。この協同組合は残業代を巡ってもトラブルの絶えないところですし、技能実習生の帰国時には、脱退一時金で引かれる源泉所得税の還付請求は某氏に連絡すると30%の手数料でやってくれると伝えています。以前からこうした話は聞いていましたが、今回このあたりの状況が判明しました。こうした行為は報酬を得て行うと税理士法違反となってしまいますが、協同組合が最後まで面倒を見ないとなればある面では必要悪と考えざるを得ないのでしょうか。こうした人たちは送金には裏銀行を使用しているかもしれませんので確実に本人たちにお金が届いているかという問題もあります。また一方では、脱退一時金の手続きも、源泉徴収税の還付請求も無料で手続をしてくれる協同組合もあると聞いています。ここれが本来のあり方と考えたいのですが、どの程度の協同組合がこうしたところまで世話をしているのでしょうか。
 同じ脱退一時金の問題で年金センターの怠慢としか言えないものが1件ありました。これは昨24年の7月初めに年金センターに書類を送付した人の例です。私に連絡があったのが今年の2月6日でした。この人は送付した書類のコピーをとっていなかったため基礎年金番号も分からず。フェイスブックで送ってきた署名の無い委任状を持って相談に行きました。多少時間がかかりましたが、書類自体に不備はないが、住んでいた市役所に連絡すると該当者がいないとのことで照会状を出すようにしているとのことでした。7カ月も経過して放置しっぱなしです。すぐ本人に確認すると申請書に書いたのは最初に住んでいたところで、その後近くに引っ越しているとのことでした。新しい住所を連絡すると市役所に確認し、確認できなければ照会状を出すとのことで終わってしまいました。翌日本人が外国人登録証を写真に撮っていたのを思い出して裏表を送ってくれたので、それを持ってすぐ行くと、年金センターにフアックスしてくれました。これがあれば市役所への確認は不要だろうとのことでした。それでも年金センターが市役所に確認し、市役所で確認できなければ照会状が行くまで待つようにとのことでした。年金センターの怠慢もありますが、それ以上になぜ市役所で本人の存在が確認できなかったのか不思議で仕方がありません。外国人登録証にはアルファベットで本人の名前と、最初の住所、移転後の住所も記載されています。ただ、年金手帳にはカタカナで氏名が記載され、一部読み方が違っていました。Reginaldoが「レヒナルド」と表記されていました。しかし年金センターも市役所もともにアルファベットの名前が分かっているのに該当者確認できないとは不思議な話です。厚生年金の資格取得届にはカタカナで氏名を記載するため会社がいい加減な読み方をすると同じように本人の確認が市役所でできないという問題も出てこないとも限りません。
 脱退一時金については、送出し機関が手数料をとって代行していると聞くため、私たちが帰国前に、顔見知りの技能実習生に対しては一緒に書類作成をしたり、教会で中心となっているフィリピン人達が指導をしてくれています。年金センターが本人の口座に送ってくれるので面倒がないのですが、所得税の還付請求は日本国内に納税代理人を選定し、その人を通じて手続します。当然、還付金は納税代理人の口座に入るので、送金手続きが発生します。書類作成自体ごく簡単なのですが、送金となると慣れないものにとっては面倒くさいものとなります。私としては特別な例を除けば引き受ける気持ちはありませんが、書類の作成は手伝うので帰国前に租税代理人を友人や後輩たちになってもらうよう指導するのがいいのかと考えています。