中国人実習生未払い賃金訴訟陳述から


 帰国前日の21日広島地方裁判所において第1回口頭弁論が開かれた。普通ならば、原告の出した訴状と被告の答弁書が確認され、次回期日を確認するくらいのものだが、今回は原告を代表して伊月玲さんが陳述した。彼女は日本語原稿を何度も練習して臨み、自分達の気持ちを少しでも裁判長に伝えようと精一杯努力した。傍聴席で聞いていた私たちにも、その気持ちが痛いほどに伝わってきた。陳述が終わった瞬間、おもわず、拍手しようと思ったぐらいである。

陳述要旨


 私たち6人は、2007年7月に、研修生として河北省から来ました。日本に来る時は、日本での研修・技能実習によって、今後役に立つ技術や技能を習得できるのだと思っていました。また、働いた分だけはきちんとお金をもらうことが出来るのだと思っていました。

 しかし、実際には、私たちを雇っていたモーデックスアルファとアルファプロジェクトは、賃金すらもきちんと払ってくれませんでした。私達は、研修生として5万8000円の研修手当をもらうことになっていたのに、月々もらうことができたのはたった1万5000円でした。私たちは、毎日残業が終わるまで休憩も食事もさせてもらえず、空腹に耐えて一生懸命仕事をしました。時には、夜11時12時、翌日の1時まで残業があることもありました。私たちの残業時間は1年に700時間にもなりました。しかし、私たちは不満も言わず、一生懸命働きました。それなのに、研修生の間中、1ヶ月1万5000円の生活費以外には、研修手当も残業代ももらえませんでした。私たちが日本に来るために、私達の家族はたくさんのお金を借りました。少しでも早く家にお金を送ってあげたくても、月々1万5000円のお金の中から送金することはほとんど不可能でした。

 私達は、2008年7月に技能実習生になりました。しかし、住居費2万8000円、国民年金保険料1万9310円などが控除されており、1ヶ月にもらえたのは7万3282円だけでした。会社はこの契約書にサインできないなら、すぐに中国に帰れと言いました。私達は中国で高い保証金を払っており、家族の友達に保証人にもなってもらっています。途中で帰れば、保証金は全く返してもらえず、保証人もたくさんのお金を払わなくてはならなくなります。私達はどうしても途中で中国に帰ることは出来なかったので、泣く泣くこの契約書にサインしました。しかし、私たちが住んでいた住居は、1ヶ月5万9000円の部屋でした。会社は私達の少ないお給料から合計10万9000円も多くお金をとっていたことになります。また、国民年金についても、私達は、会社が私達の国民年金保険料を一度も払っていなかったことを、最近知りました。

 さらに、私達は、非実務研修を一切受けさせてもらえませんでした。

 私達は、希望を持って日本にきました。しかし、会社は、私達に対し、日本人の職員には絶対しないような扱いをしました。しょっちゅう嘘をついて私達を騙しました。私達のパスポートも2009年2月22日まで会社に取り上げられていました。会社は、私達が知らない間に、私達の印鑑を勝手に使って私達名義の銀行口座をつくったりしていました。

 私達は、スクラムユニオンに加入して、賃金や残業代のことについて、土屋さんに頼んで会社と交渉をしてもらいました。しかし、会社は、自分達がやったことを認めず、私達を解雇にしました。会社は私達のため飛行機のチケット代も出してくれませんでした。私達は、会社に対して、次のように言いたいです。「会社は私達6人にこんな残酷な仕打ちをして心が痛まないのですか。あなた達には子どもがいないですか。親になったことはないのですか。自分達の子どもに対してもこんなひどいことをするのですか。自分達の子どもが、外国で、こんな仕打ちをうけたらどう思いますか。あなたたちに良心はあるのですか。」

 私達は、日本の法律が一生懸命まじめに働く者の権利を守ってくれるものだと信じています。私達は明日中国に帰りますが、日本の裁判所に、合理的で公正な判断をしてほしいと心から願っています。

(スクラムユニオン第76号から)