平成21年外国人労働問題報告

 昨年は、岩国基地の見学、フラワーフェスティバルへの参加、シンギングコンテストやクリスマスパーティーそして1月17日のパスポートの切り替えのため大型バスで福山に行くなど広島フィリピン人協会では楽しい行事が沢山ありました。しかしこうした楽しみを享受できるのは広島で生活基盤を築いている人たちについての話でしかありません。彼らの中でも昨今の経済情勢から解雇・転職の憂き目に会う人たちもいましたし、様々な問題を抱えている人たちもいますし、新しくお店を立ち上げる人たちもいました。こうした長年広島に住んでいる人たち以外に研修生・技能実習生や日系人として新たに広島で働き出した人たちの間には唖然とせざるを得ない多くの問題があります。広島フィリピン人協会に寄せられた労働問題の主なものを纏めましたので紹介させていただきます。ただ、ここで触れた以外にも出国時の費用(借金)の不明確さ、パスポートの取り上げ、生活への規制や同国人に管理させるシステムそしてフィリピンと日本を行き来して管理しているブローカ−の存在などもあります。

1.R・S(男・配偶者が日本人)(1月11日)
 溶接の仕事をしていたが解雇された。大学で介護関係の勉強をし、実家も病院・介護関係の仕事をしていることから介護関係の仕事をしたいとの相談がある。
  → 施設関係を当ってみるが報告書作成等で日本語の能力の問題があり難しい。

2.(3月15日)
(1) 研修生最後の日に仕事中目を負傷し、失明状態になる。治療を十分受けられないまま帰国させられる。
(2) 黒瀬のK鉄工で働く研修生・技能実習生が高額な家賃を徴収され、暖房も使えない情況にある。

3.(3月25日)
(1) フィリピン人女性の夫が脳溢血で倒れ、しっかり話せない状態ながら本人が労災申請を訴えている。残業また
  休日もない状況で働いてきた様子

4. (4月12日)

(1) J(男・コンピュータ技師)
 1年前社長が退任の際、自分が使用していた携帯電話とPCカードを会社からの支給としてうけとるが、1年後、下記3点の支払いを突然申し入れられた。
  @ 個人使用分の携帯電話の利用料(70万円)
  A PCカードの利用料(300万円)・・定額契約でなく従量制の契約だった。
  B 残業代の返還要求・・就業時間中の私用電話時間をこれまで支払っている残業代から返還するよう要求がある。

(2) M (男・母がペルー人)(4月12日)
 4月に国際学院大学情報デザイン学科を卒業したが就職先がないかとのこと。SEとしての仕事を探している。

5.G (男・定住者)(5月31日)
 「社長から賃金の切り下げを申し入れられているがどうすればよいか。」との相談がある。
 @「承諾しないこと、理由を説明させること。」を指示する。言葉の問題もあるため、名刺を渡し理由を小松に説明
  してもらうよう告げるが連絡なし。
 A9月の賃金から一方的に減額され、10月21日で解雇される。
 B経営状況悪化のための減額といいながら、10月1日付けで1名採用している。
 Cユニオンに加入させ、交渉を進める。
 D解雇予告手当は第2回の団交日に一方的に振り込んでくる。
 E1か月分の賃金を休業補償・慰謝料として交渉中(12月)

6.M・T(女・技能実習生)(他に2名同じ情況の者がいる。)(6月7日)
(1) 残業代の未払い(月曜から土曜日の週6日勤務+毎日2〜3時間の残業)
(2) 会社都合による休業時の休業手当未払い
(3) 強制貯金の未清算
(4) 不当に高額な家賃(一部屋に3人程度で一人家賃2万円と光熱費1万円で暖房使用禁止)
(5) 離日の前日、強制貯金の返還を受けるが、2年間分の市民税を徴収され僅かしか残らなかった。

7.R・L夫妻(夫が日系人)(7月26日)
(1) Rさんの労災申請無視
(2) 最低賃金違反
(3) 残業代未払い
(4) 強制帰国の処置(労基署への申告が会社に分かり強制帰国を通告され、HFAに連絡があり、身柄を保護する。)
(5) 監督署への申告とユニオンに加入させ、交渉に入り、10月に解決する。
(6) 雇用促進住宅に入居し、2ヵ月後呉のフィリピン人宅に移動。
(7) 12月22日に入院し、金具の除去手術をおこなう。
(8) 2月に帰国予定であったが、Rさんのビザの更新が出来ず平成21年1月21日帰国
(9) 二人の派遣先であった事業所で16名(日系人)が働いていたが既に全員が労働条件の問題等から退職している
  とのこと。

8.A・J(女・日系人)(10月11日)
 R・L夫妻が退職後、来日した従姉妹で同じところで働いており残業代未払い等の問題は解消されていない。
 友人がいる事業所の待遇が良いためそちらに移りたいが退職させてもらえないとのこと。

9.A・J(男・技能実習生)(10月25日)
 研修生先の建設会社が業績不振で、解雇され、帰国させられることになった。本人としてはビザの期間がある1月23日まで日本に居たいとの願望がある。
(1) スクラムユニオンに加入させ、交渉の結果、寮の退去期日の延長と解雇予告手当の支払いをさせることになっ
  た。
(2) 1月21日帰国(寮退去後フィリピン人の家庭で世話になる。その期間、失業給付受給)

10.N・S他5名(技能実習生)安芸津(11月22日)
 賃金が正確に支払われているかどうかの疑問から相談に来る。
(1) 賃金支給明細書と日ごとの稼動記録から計算した結果、労働時間、残業代を含め問題は無い様である。
(2) 後日、労働条件通知書を貰うと所定休日は35%割増となっているが25%の率でしか支払われていない。
(3) 家賃について問題がある。古いアパートの一部屋に4人で家賃・光熱費として一人2万円徴収されている。
  この問題は、研修生・技能実習生共通の問題で、労基法の寄宿舎に該当しないか、また不当利得としての問題は
  無いのか疑問がある。
(4) 帰国時に住民税が2年分一括して賃金から控除される。これについては6のM・Tさんの事例もあり、三原でも
  同様の問題があった。三原では、本人達がこれを不服として市役所に交渉に行き、「支払わないでも良い。」との回答を得たという。広島
  市役所に確認すると、帰国先まで請求はしないとのことであり、会社が徴収しながら市役所に支払っているのか疑ってしまう。
(5) 厚生年金脱退一時金についてはフィリピンの送り出し団体が手続きを代行し、かなりな部分が手数料として徴収
  される。
(6) 帰国時に確定申告することで源泉所得税が返還されることは知らない。
(7)  H22.1.23に会社と6人が交渉し、担当者が退職しているため、「労働条件通知書は無効であり、賃金の未払
  いはない。」との
  回答があり、小松の名刺を渡すと2週間後に再度交渉の場を持つとのこと。
(8) 社会保険事務所、ハローワークと市役所に資格確認と市民税の課税情況について調査にいくため委任状への
  署名を求めると、2月3日に2名が年休をとり呉に行くとのことで一緒に確認に行くこととなる。