ケラメイコス 〜 陶工の町 85

徳利−5



 ぐい呑をいろいろ集め協はどれを使うかと考えるのが楽しみの一つですが、ぐい呑に何からお酒を注ぐかとなるといい加減なもので、買って来たまま冷蔵庫で冷やしたビンから注ぐのが夏場の常識となっています。本来であればガラスで出来た中に氷をいれた冷酒用の器もありますがこれだけは使いたいとの気持ちが起こってきません。使うとすれば片口が一番でしょう。呑む量もぐい呑3杯程度であり、肴を楽しみながらちびりちびりと呑むタイプではなく、一息に呑み美味しいと感じればそれでいいので片口や徳利は夏場には必要ないといえます。しかし、寒い時期は熱燗になってきますのでどうしても徳利が必要になってきます。この場合困るのが手ごろな大きさ、7勺程度から1合程度の大きさのもので気に入ったものを見つけるのが非常に難しいことです。このようなことから徳利には関心が低いのですが、欲しくないかといえば嘘になってしまいそれなりに探して持ってはいますが、気に入ったものが無いのが現状です。あと一つぐい呑に比べ値段が高いということのほうが問題が大きいかもしれません。

 唐津の西岡小十先生の窯には何度となく尋ねましたが使ってみたいと思うものに出会うことはまずありませんでした。今回掲載した3本が手元にあるのみで、私に向いた分量に近いものは左端の絵唐津の徳利です。小振りながらどっしりと落ち着いており、胴から口に向けていい感じに造られ、唐津らしい色合いで何かよく分からないおおらかな絵付けも楽しめます。徳利自体あまり陳列室で見かけませんでしたし、特別関心もなかったことから出してもらうこともしませんでしたがこれはたまたま目に付いて購入した一番のお気に入りで久しぶりに箱から出してみました。

 あとの2本は朝鮮唐津で、何れも売り物にならないもので戴いて帰ってきたものです。そうは言っても売り物であったら触手がかならず動いたものであとは値段次第だったでしょう。真ん中のものは形もすっきりとしており、斑の白い釉薬も黒い鉄釉もきれいに発色し、鉄釉の流れもいいのではないでしょうか。残念なのは底に小さな割れがあることですが、埋めてしまったので使用に差支えることはありません。

 右側のものは不良品とは言っても面白いものだといえます。温度が上がりすぎたため釉薬が軽石状態になり、逆に面白い雰囲気をつくりだし、水にぬらすとカサカサした肌が黒くしっとりとした感じに替わってきます。腰が確りと張りお酒もたっぷりと入るので呑兵衛にはいい徳利だといえます。

 行く先々でいろいろ戴いて帰ってくるのですが、買ったものよりもこうしたものの中に好きなものが多いというのも不思議な気がします。窯の神様の気に入ったものがそのようになるのかも知れませんね。

  
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西岡小十 絵唐津徳利
西岡小十 朝鮮唐津徳利
西岡小十 朝鮮唐津徳利