ケラメイコス 〜 陶工の町 79

小 皿



 やきものを収集する場合手当たり次第に集めるという人もいれば何か一定のものに狙いを定めて集めるというタイプの人もいます。良いコレクションが出来るのは当然後者の方であり焦点が定まっていなければのガラクタの寄せ集めになってしまいかねません。
 なにを集めるのかということになると千差万別でしょうがぐい呑や蕎麦チョコそして油壺や盃台などを集める方が多いのではないでしょうか。小皿を集める人はどうでしょうか。小皿も関心を持ってみていくと意外と面白いところがあります。様々な形や図柄は当然としても世相を反映した絵柄に注目して集めることも出来ます。明治時代の文明開化を題材にしたものなどは見ていても楽しくなります。明治の印判手なども独特の雰囲気を持っています。戦争が起これば戦争を題材にしたものが現れ興味が尽きません。私の場合収集しているのではなく有田などに遊びに行ったときなどにお店から手ぶらで出るのも悪いと思い安い小皿を買ってしまいます。古いものになると別で、こちらは小皿というよりはぐい呑に使えるものが対象になっており唐津や朝鮮の小皿や小鉢がいろいろ集まりました。お酒を呑むためでも、肴を入れるためでもなく柿の種や回転焼を食べるときの器として活躍してくれています。柿の種は高麗青磁の小鉢が役に立ってくれますし、回転焼きには古唐津の小皿が役に立ちます。本来の使い方といえるかもしれませんが、ぐい呑に使うとなると「見立て」ということになります。これは本来の用途から外れて使用することで、茶の湯が始まった当時から食器などをお茶に使う茶碗に転用してきました。井戸茶碗なども庶民の飯茶碗であったものをお茶の茶碗に見立てたといわれています。前号に紹介した本の著者は庶民の使用したものではなく、祭祀用に特別に造られたものだとの説を主張しています。
 小皿のいい点は「安い」と「多様性」の二点にあるといえます。ものを集める場合安いことが第一ですし、無数にあることも必要です。しかしそれ以上に使えるということが重要かもしれません。沢山のお皿に少しずついろいろな料理を食卓に乗せることによって料理を楽しむと同時に、器自体も楽しむことが出来ます。
 左のものは有田陶器市に行った際に柿右衛門窯の職人さんだった人が造っている古淋庵で300円程度で売られていたもので、色々な図柄のものがあり5枚ほど買ってきたうちの一つです。
 次の魚の絵のものも有田陶器市で見つけたものです。この窯は武雄温泉の近くにある小田志窯のもので、朝鮮の技法を伝えてきている窯です。これは白泥を器に掛けた後、黒っぽく見える部分を掻き落として魚の絵を描いています。高麗青磁風のものなど楽しい器を造っています。
 藍色のものは明治時代頃の印判手と呼ばれるものです。版を造り、紙に模様を写し、それを器肌に転写する技法です。これは西条の酒祭りのとき露天の骨董市で購入したものでした。酒祭りの時には骨董店がいくつも店をだしているのでお酒よりもこちらの方が目当てで行っています。こうしたお皿はコーヒー代にも満たないので気が楽です。
 最後のものは小石原焼の飛び鉋といわれる技法を用いたものです。白泥を掛けたお皿を轆轤で回しながら鉋で細かな点を刻んでゆくもので技術の優劣で出来が違ってきます。非常によく出来ていると関心したのですが、小石原のものは値段が安すぎて逆に心配してしまいます。
 小石原では鯉料理、山菜料理そしてお蕎麦を食べるのを楽しみにしていますし、有田はゴマ豆腐のような感じの呉豆腐があります。嬉野温泉には温泉豆腐があり、西条はお酒だけで造る美酒鍋があります。唐津に行くと玄界灘のお魚は最高です。やきものと食べ物何れも楽しめる旅が最高ですね。

  
唐子 小田志 印判小石原
有田焼小皿
小田志焼小皿
印判手小皿
   
小石原焼小皿





展覧会


展覧会の案内




 今回は開催中と近々開催される展覧会を紹介します。大阪市立東洋陶磁美術館の「北宋汝窯青磁 - 考古発掘成果展」は一般の方には面白いとは思えませんが、山口県立萩美術館・浦上記念館の「川喜田半泥子のすべて」は大いに楽しめるはずです。


1.大阪市立東洋陶磁美術館  国際交流特別展「北宋汝窯青磁 - 考古発掘成果展」
 平成21年12月5日(土)〜平成22年3月28日(日)

 青磁の美しさにはたとえようも無いものがあります。しかもブルーのものあれば、緑色のものもあり、また青磁とは思いもよらない朽葉色のものもあります。最高の青磁はこの北宋汝窯であり南宋官窯の青磁に尽きるといえます。しかし汝窯の作品は数少なく目にする機会は少ないのですが、台湾の故宮博物院を見学された方は水仙を入れた盆と説明されたものがこの汝窯の作品です。
 この展覧会は名品を集めたものではなく発掘した出土品を中心としたもので特別出品として同館所蔵で故宮博物院と同手の水仙盆が展示されています。これらと同じ作品で商品とならずに捨てられたものも展示されていますので見比べてみるのも面白いといえます。


2.ひろしま美術館 「ロートレック・コネクション」
 平成22年2月13日(土)〜3月22日(月・振休)

 「本展は、アルビのトゥールーズ=ロートレック美術館館長ダニエル・ドゥヴァンク氏の企画監修により、ロートレックと彼が師と仰いだ画家、同時代の仲間達の作品を内外の美術館、コレクターの所蔵品から厳選し、@「画学生時代」A「モンマルトル」B「前衛集団の中で」という3つのセクションに従って紹介するものです。36年の生涯を駆け抜けた画家ロートレックの創作に新たな光を照射する展覧会です。早春のひとときをお楽しみください。」(HPからの抜粋)
 フランス印象派の作品が常設展示されています。


3.山口県立萩美術館・浦上記念館  川喜田半泥子のすべて
 平成22年4月3日(土)〜5月30日(日)

 川喜田半泥子は実業家として活動する一方陶芸を始めとした様々な芸術の分野に才能を発揮した人物で特に荒川豊三や金重陶陽などに大きな影響を与えたといわれています。独特の雰囲気をもった作品には驚きとともになんともいえない魅力を感じます。プロの陶芸家には不可能な造形の世界かもしれません。陶芸に関わらず川喜田半泥子の美意識の世界に触れることが出来ます。
 常設展として浮世絵と中国陶磁器が展示されています。


4.出光美術館(門司)  会館10周年記念 出光コレクション 古唐津
 平成22年4月2日(金)〜5月30日(日)

 唐津焼のコレクションは出光美術館と福岡の田中丸コレクションが有名です。出光美術館は名品だけに止まらず唐津古窯からの出土資料など多数所有しており唐津焼ファンにとっては垂涎のコレクションといえます。どの程度の出品なのか良くわかりませんが小山富士夫、水町和三郎両氏の業績も紹介するとのことですから発掘資料等も紹介されるのではないかと思います。

 ホ−ムぺ−ジには他の作品も展示していますのでご覧ください。


絵唐津 絵唐津 初期伊万里
絵唐津陶片
絵唐津陶片
初期伊万里陶片