ケラメイコス 〜 陶工の町 77

酒を呑む器−46



 新しい1年が始まりました。お酒の好きな方は一日楽しまれる方も多いのではと思います。下戸の私としてはそのような方がうらやましく思います。私の呑みかたは夕食時に土平さんの白磁の徳利(1合)に8分目程度のお酒で十分です。最近好きになった44度の泡盛は「のぞき」に三分の二程度入れてグッと引っ掛けるのみ方ですから、お酒や酒器を楽しんでという呑み方とは違うかもしれません。しかしこれが自分にとって一番美味しくお酒が呑める方法です。ワインの時はどうしても無理をして半分程度は飲みたいと思いますが三分の一程度で終わってしまうため良いワインは抜栓できずストックのまま残っています。
 お酒の楽しみはどのような味がするのかワクワクしながら栓を抜きます。千円未満のワインでは楽しめるものが多くても、日本酒は今一つの感があります。日本酒度、酸度、アミノ酸度、酒米や精米歩合等が表示してあるのである程度の検討はつきますがなかなかこれと思うものが少ないのが残念です。竹原市の竹鶴酒造の癖のあるお酒にも惹かれますが、素直に旨いと思えるのが神亀酒造 (埼玉)の「ひこ孫」ですし、鹿野酒造 (石川県)の「常きげん」です。燗酒の場合昔ながらの小さな猪口で呑まされると今一つ美味しくないので、冷でも燗でも手にすっぽりと入る程度のぐい呑みで、ゆっくりと口の中で転がしながら呑みたいですね。ただ冷酒の場合、口造りが薄いものの方がいいように思います。
 今回掲載したものは、去年購入したもので思いのほか安く手に入り、大いに気に入っているものです。
 左端のものは備前の金重?先生の火襷です。この先生のぐい呑みは長年欲しいと思いながらも、欲しいと思うものに巡り合いませんでした。本来は、同じ形のもので、備前風に黒いものを探していたのですが、思いもかけず火襷の掛かり方もいいものが手に入りました。このぐい呑は一度は落札を逃しましたが、落札者がキャンセルしたのか再度出てきました。落札価格は当初応札した価格よりはかなり低い額でした。キャンセルになったのは何故か、出品者が価格を吊り上げたのではないかなど様々な思いにとらわれます。到着して眺めてみると内側に2箇所小さな膨らみがありました。陶土に含まれた空気がに起因した火ぶくれなのか小石を噛んでいるための石はぜなのかよく分かりません。前者は嫌われ、後者は景色として賞玩されます。こうしたものがあるなしに関わらず気に入ればいいので良い買い物をしたと思っています。
 真ん中のものは、箱はなく西岡良弘先生のものとして買ったものですが、形から見て間違いはないと思います。ただ、販売されたものではなくお土産として貰ったものだといえます。作品の出来に対して非常に厳しい先生なのでこの出来では販売用には無理でしょう。しかし、使う方としてはこうした方が楽しいといえます。唐津独特の立ちぐい呑で、高台脇が低く削られ、絵も何もない無地唐津です。釉薬のムラと釉薬を掛ける時の指のあとそして煙が入ったような黒ずみがいい景色となり飽きのこないものです。使用しているうちに小さな貫入が入り落ち着いた色合いに変化していくのが楽しみで、呑むたびにお酒を手で擦り付けています。
 右端は、オークションの説明では初期李朝と説明されていました。しかし画面を見ながら中国の宋の時代辺りではないかと考えていました。手にしてみると柔らかな釉薬の調子、全体に貫入があり、剥落が見られる焼成が充分ではないのは明らかです。一般に見られる初期李朝とははっきり異なっているため白磁の極初期の時代かもう少し遡って高麗白磁ではないかと検討中です。古いものの場合戸籍調べが非常に楽しいのですが雑器については消耗品であるため資料が乏しく前に進みません。高台内に「五」の墨書があります。中国のお墓からのこうしたものがよく出土しているので中国か?朝鮮でもこうしたものがあったのか??。

 ホ−ムぺ−ジには他の作品も展示していますのでご覧ください。


金重 ?(まこと) 西岡良弘 初期李朝?
火襷ぐい呑
金重 ?(まこと)
唐津ぐい呑
西岡良弘
白磁馬上杯
初期李朝?