ケラメイコス 〜 陶工の町 74

湯のみ−4

 

 今回も唐津の湯のみです。集めているわけではないのですが、窯元めぐりで手軽に買えるため贈答用にと思い手が伸びてしまいます。ぐい呑に対してはかなり姿かたちにこだわりますが、湯のみについては気楽にというか使いやすさを考えて造られているため妙にこねくり回したものが少なく、ぐい呑よりもかなり安い値段が付けられています。やきものの場合、作家個人の作品と、その窯の工房の作品と二手ある場合があります。西岡先生の場合、小十銘のものと小次郎窯のものがあり、中里重利先生の場合は重利銘と三玄窯のものが、中里隆先生の場合は全て本人の作品となっています。今回載せた藤ノ木土平先生も本人のものしかありません。中里太郎右衛門窯、今泉今右衛門窯そして酒井田柿右衛門窯の場合、窯の作品(工房の職人さんの作品)を本人が造ったものと誤解されているようです。中里太郎右衛門窯の場合作品に三ツ星(三つの点)が押してありますし、他のものはそれぞれ作品の高台内に染付けで今右衛門、柿右衛門とかかれています。本人の作品にはそのようなものはなく分からないように彫銘が入れられています。こうした大規模な窯以外では作家のものと工房のものがあれば後者が1割から2割程度の値段となります。中里重利先生の窯では工房の作品についても先生自身が絵付けをされていると伺ったので大いに楽しめるものが安価で手に入る楽しい窯といえます。本人の作品は一品製作であり、工房の作品は、定番商品として5客組を基本として造られていますので、一目で区別がつきます。窯元を訪ねそのあたりのことを見るのも楽しみといえます。
 左端は藤ノ木土平先生の少し大振りの湯のみです。土平先生の湯のみは口から下向かって1cmほどのところまでを外に膨らませ、高台はがっちりと高めに造られるのが特色といえます。また見栄えよく形を造るというよりは、見込をゆったりと広く取られます。嫌味のない、おおらかなものを造られます。私自身土平先生の湯のみは朝鮮唐津を数点買った記憶しかありません。朝鮮唐津以外釉薬の調子が今一つ好みに合わないようです。コーヒーカップはいいのですが・・。ここに掲載したのは最初に買ったものです。数十年前・・。それ以外は贈答用に使用して残っていないのが残念です。「自分が好きだからといって人が好きかどうか分からないのに。」といわれ続けましたが、自分の気に入ったものを贈答品とするのがベストだと考えています。それには湯のみが無難ではないでしょうか。
 真ん中のもの帆柱窯の中嶋紀文先生のものです。これも数十年前父が福岡に単身赴任していたときゴルフに行き、天神の陶芸店酔壺堂?で初めて個展をされたときに買ったものです。本来ぐい呑として造られていますが、大振りなのと絵と釉薬の調子から湯のみとして使っています。素直な気持ちの良い姿をしています。もう少しザット気楽に引き上げれば面白いのですが、生真面目すぎるところがあります。
 右端は耕悦窯のものです。ここは作家としての活動ではなく引き出物などの需要に応えている窯といえます。価格も非常に安く窯元めぐりの最後に連れて行った人たちも他の窯のレベルと価格と比較して強い関心を示し、かならず幾つか買って帰ります。中里重利先生とここだけがこうした細い繊細な素晴らしい絵唐津を焼いています。価格は格段に安く、質問すればいくらでも答えていただける実直な先生です。ただあの車一台やっと通れる細く、草に覆われた道を登って行きたくはないのですが絵唐津に憧れて行ってしまいます。また、ここの登窯が唐津で一番大きいと思います。

 ホ−ムぺ−ジには他の作品も展示していますのでご覧ください。


藤ノ木土平 帆柱窯 耕悦窯
朝鮮唐津湯のみ
藤ノ木土平
絵唐津湯のみ
帆柱窯
朝鮮唐津湯のみ
耕悦窯