ケラメイコス 〜 陶工の町 73

湯のみ−3 西岡良弘

 

 今年は長崎から唐津にかけて旅行をしたいと思いながら1年の三分の二が過ぎてしまいました。長崎は10年ほど住んでいたところですが、町並みは当時と大きく変わって戸惑うところがありますが、一歩裏通りに入ると昔のままでほっとする思いがします。寺町当りの通りに萬順という小さな中国菓子のお店があり、そこのヨリヨリというメリケン粉をねじったものを油で硬く揚げた単純なお菓子が好きでこれを買うのを楽しみにしています。食い意地の張った者にとって長崎は食べたいものが多すぎて困るともいえます。食べるものもいいのですが、長崎歴史博物館に展示されている長崎県内にある唐津焼古窯の陶片と長崎から唐津への途中に散在する教会建築の見学もしたいと思いながらもなかなか実現しそうもありません。

 唐津に行ったとしても特別買い物をするわけでもなし、ダラダラと窯元巡りをするだけなのでしょうが土平さんと一杯呑むのが楽しみですし、波止岬のサザエのつぼ焼きと味の一夜干しの味も魅力があります。新しい窯も出てきませんが一箇所だけ気にかかる窯があり、一度覗いてみたいと思いながらこれもそのまま・・・。惰性に流れて生活を改め残り少ない人生を充実させなければならないので、やりたいことを絞って一つぐらいまともに勉強しなければいけないでしょう。そうなると唐津焼の源流の朝鮮のやきものとなります。取り敢えずは唐津の湯のみを見ていかなければなりません。

 今回は西岡良弘先生のものです。唐津焼は中里一家以外はその他大勢としての感がありながらも西岡小十先生が古唐津に習った独自の作風で存在感を示していました。ご子息の西岡良弘先生は父親とは一線を画し、自分の作風を確立されています。現代風な感じで、私の好みとは少し違ってはいましたが、最後に行ったときに目にした青井戸茶碗は素晴らしく、未だに思い出します。生真面目な性格が作風に現れていますがそれを大きく打ち破れればどのように変わるか興味があります。

 左端のものは轆轤引きしたものの口辺を抑えて四角にしたものです。釉薬はしっとりとした肌合いを示しています。器全面に微細な凹凸があり光を乱反射させている様子は古伊万里のゆず肌と同じようなものといえます。透明に近い釉薬がかけられ赤茶けた土が透けて見える上に黒々と発色をした簡略な絵が描かれています。口が四方から押され少し内側に抱え込まれるように四角く形作られることにより、胴全体に微妙な曲線が現れなまめかしさをかもし出しています。

 真ん中のものは素直な筒型の湯のみですが、直線的に引き上げられているのではなく微妙に胴を膨らませたりへこませたりして手になじみ易くつくられています。ブドウの絵が描かれています。これを買ったとき東京の個展ではブドウの絵に人気があったと話されていました。当時はワイン・ブームだったのでその影響かもしれません。

 右端も同じ筒型ですが、藁灰釉と鉄釉を左右にかけ分けた朝鮮唐津です。細めで手にもよく馴染み見込には藁灰釉と鉄釉が混ざり合い美しいブルーの発色が見られます。この湯飲みだけ高台が削り出されず糸切のままのベタ高台になっています。

 ホ−ムぺ−ジには他の作品も展示していますのでご覧ください。


西岡良弘 西岡良弘 西岡良弘
絵唐津湯のみ
西岡良弘
絵唐津湯のみ
西岡良弘
朝鮮唐津湯のみ
西岡良弘