ケラメイコス 〜 陶工の町 72

湯のみ−2 中里重利

 

 日々使う湯のみに何を選ぶか好みの問題といってしまえばそれまでですが、あまり関心がなくてもそれなりに日々使っていれば、高価なものとか、高名な作家が製作したとかを問わず、思い入れは深くなるといえます。旅行したときの思い出に買って帰って使っている方が多いのではないかと思います。私も旅行をすると湯のみを探すことになります。九谷焼のようにあまりなじみの無い産地に行くとついつい気に入ったものを探し回ってしまいます。その基準は、安いこと、産地の特色があること、自分の好みに合うこと、出来れば作家ものということになります。そのためにはざっと店内を見回しながらお店巡りをすることになります。不思議なもので、無数にある中から自分の好みのものに目が止まります。欲が張っているということかもしれません。窯元に行くとそうではなく入り口から順にゆっくり手に取りながら見ていくことになり、なかなか先に進みませんし、先生でもいると話を聞くことが中心となり十分見ることが出来なかったということも良くあります。 
 今回の中里重利先生の三玄窯では先生の顔を見ることはまずありませんし、お店の人とも話すことが無い窯なので一通り眺めると帰ることが出来るのはいいのですが、行くまでは1台がやっと通れるあの細くて急な坂道を登るのかと思うと憂鬱になってしまいます。
 先生の作品を買うのは窯よりも唐津の繁華街の一番館というお店のほうがいろいろ揃っているようです。窯の作品、特に定番となっているものについては窯の方が作品も多く、目移りしながら選ぶ楽しみがあります。本家の太郎右衛門窯も同じで市中のお店と同じでいま一つですが、中里隆先生の隆太窯は先生も働いている人たちも丁寧に対応してもらえ唐津でも一番楽しい窯だといえます。重利先生は生真面目そのものといってもいいような作風で素晴らしい絵唐津を焼かれています。斑、朝鮮唐津は今一つと思いながらも絵唐津はずば抜けて旨いとしかいえません。毎度絵唐津の食器を買おうと思いながら未だに手に入れていないのが残念です。他の窯でぐい呑みをと考えるとついつい手を出しそびれてきました。
 左のものは華奢な感じのものです。唐津に天皇陛下がこられたときに使用していただくために先生に依頼があり作成されたもののうちの一つとお店の方から聞きました。同様の絵付けのものは見ますがこのような手のものはこれ以外見たことがありません。この絵に引き込まれてしまいます。
 真ん中のものは、左のものと同時期に窯の作品として造られ、定番商品となっています。同じものを2個買って帰り、一つはどのように変化したかを見るために開封もせず仕舞っています。もう少し黒っぽい色合いでしたが良く見ないと分からないのですがわずかに赤みが出てきています。
 右端も初めて窯を訪れた30年以上前には造られていたもので人気が高い作品のようです。白土を化粧掛けする粉引に絵付けをしたものです。鮮やかな白さですが、初めて買ったものはいっぺんでグレーに変色しました。普通は茶色く変色していき、天井に雨漏りの染みが浮き出るように湯飲みのアチコチに雨漏りが出て汚れてきます。これは不良品ではなく、粉引きの特色です。やきもの好きにはこの変化の出方、またどのように変化していくかが気になってしまいます。

 ホ−ムぺ−ジには他の作品も展示していますのでご覧ください。


中里重利 三玄窯 三玄窯
絵唐津湯のみ
中里重利
絵唐津湯のみ
三玄窯
絵粉引湯のみ
三玄窯