ケラメイコス 〜 陶工の町 F 有田町界隈-2

        今、泉山から下っている道路は幅10mほどですが、陶器市の時には、両側はすべてやきものの店となり、肩も触れ合うほどの人ごみになりますが、この人ごみの中を車は通るし、バスも通るし、事故が起こらないものかと思いますが、通行止めにしないところをみると問題はないのでしょう。また陶器市の期間中は有田町内の中学生・高校生は全てアルバイトとして動員されると聞いたことがあります。

 岩尾對山窯から少し下り右側の奥まったところに商工会議所があります。その手前には小さな有田陶磁美術館があります。陶器市のときは、なかなか食事する店を探すのに困りますが、商工会議所の一階が臨時の食堂になりますので、ここが一番いいかと思います。有田陶磁美術館の裏手あたりで「トンバイ塀」を見ることができます。これは、窯を壊すときに出る耐火煉瓦を自宅の塀のレンガとして再使用しているもので、長年炎になめられ、煙や釉薬が染み付いた趣のある風情を感じさせる通りとなっています。また、このあたりに磁器でアクセサリ−造りを専門にしている二宮閑山窯がありますので寄られてみるのも面白いと思います。

 また少し下ると札の辻という四つ角に来ます。左角が辻常陸、右に行くと深川製磁、少し下り右手に香蘭社そのはす向かいに今右衛門窯とあります。そして辻常陸を左に入って段々を登っていくと陶山神社があります。この神社には磁器製の鳥居や奉納品がありますし、今下ってきた道を一望できます。だた、ここに行く途中でびっくりするのは段々をあがったところに線路があることです。不思議な場所に来た感じを受けます。

 今右衛門窯は、江戸時代から続いている母屋が展示室となっているのでチョット入りづらい感じがありますが遠慮せずに入ってください。作業場は道路の反対側にあり、陶器市のときは、こちらの建物が会場となっています。窯とか作業場は一般に開放していませんので見学はできません。何度か窯を見学しましたので、簡単に紹介しておきます。全国のデパ−トに展示コ−ナ−を持っている窯とは思えないくらい、小規模な作業場であり、窯です。登窯ではなく、2m四方程度の倒焔式の窯です。この窯は、床下で燃料を焚きます。壁が二重構造になっており、炎がこの隙間を通って、天井から部屋に降りていくという形式をとっています。重油やオガライトなどを使い、最後は薪をつかうとのことでした。薪を使わないと意図した地肌の潤いが出ないとのことです。当然もう一つ上絵用の小さな窯があります。今右衛門窯は、色鍋島の技術を保存しているとのことで重要無形文化財として国の指定を受けています。色鍋島とは、鍋島藩の藩窯で焼かれた色絵の焼き物を指しており、この窯は伊万里市の山奥の秘境と呼んでもいいくらいの大川内山にあり、ここからこの今右衛門窯に運ばれて上絵付けされていたといわれています。また、先代の13代は個人としても重要無形文化財の指定を受けておられました。伊万里には昔から吹き墨という技法があります。これは、型をおいた上から霧吹きで呉須を吹きかけて模様を磁肌に残すものですが、この技法を発展させ、作品の全面に吹きかけるという斬新な作風を 13代は晩年に開発され作品を発表されていました。この窯のものとしては、吹き墨も悪くはないのですが、スッキリと笹の絵を描いたものが私の好きな作品です。

 次の窯がこのメインストリ−トでは最後に訪れる窯になります。今右衛門窯から少し下った右手にある晩香窯です。この窯の特色は染付けに色を差したものとか鈞窯風なものがありますが、いずれも現代風にうまくアレンジしてあります。全般に厚手の造りです。中でも麦の穂をデザインした作品は気に入っており買おうと思いながら唐津に廻ることを考えると眺めるだけで通り過ぎています。

 この界隈にはさらに無数の窯があります。札の辻あたりの雪山窯は薄手のいい白磁を焼いています。同じ白磁でも、中国のもの、朝鮮のもの、また有田以外で焼かれている白磁・・同じ白磁であってもまったく色合いも違い、手の切れるような冷たさを感じさせるもの、温かみを感じさせるものといろいろあります。ここで紹介した窯をたたき台に自分の好きな窯を探してみてください。

お 勧 め の 窯 場 の 所 在 地
深川製磁 http://www.fukagawa-seiji.co.jp/
香蘭社 http://www.koransha.co.jp/
今右衛門 http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/y-kwm/y-ckg/y-crn/IPA-tac710.htm
晩香窯 庄村健 http://www2.saganet.ne.jp/shoumura/index.html
大有田焼振興協同組合 http://www.arita.or.jp/aritaware/
大川内山 http://www.hachigamenet.ne.jp/~yos-c-co/content/03_ookawachi.html