ケラメイコス 〜 陶工の町 63

茶 碗−3

 先日文化勲章と文化功労賞の発表がありましたが、陶芸界からの受賞者はいませんでした。人材がいないわけではないでしょうが、他の分野との関係もあるでしょうし、年齢の問題もあるのかもしれません。ここ10年の間では、有田で天目を焼く青木龍山先生が1999年に文化功労賞そして2005年に文化勲章を、金沢で大樋焼(楽焼)の大樋年郎先生が2004年に文化功労賞を受賞されています。陶芸家で人間国宝に選ばれている先生はいろいろおられますが、このお二人は選ばれていません。選考基準の違いなのかどうなのかよく分かりません。また予想外の方が受賞したりしますのでそれなりの活動が必要なのかもしれません。実力がありながらもこうした受賞や認定もなく亡くなられる先生も多いのですが、9月には笠間で活動されていた和太守卑良先生が他界されました。64歳とまだまだこれからというところでした。加守田章二の亜流と思い、あまり関心がなかった作家ですが、NHKテレビの陶芸教室の講師をされていたのを見て人柄の良さに引かれて再認識した作家でした。使ってみたいぐい呑かというと好みから外れているのですが、見ているだけでも楽しめるものがあるので関心を持っていた作家でした。「使ってみたい」といいながらも実際に使用することもなく仕舞い込むだけなので変な理屈ではあります。川瀬先生の作品は繊細過ぎてお酒の場では直ぐに壊してしまいそうで使えませんし、隠崎先生のものは観賞用であって使用目的で造られているとは考えられないのでこれも押入れに直行となってしまいます。

 お茶をやらない者にとって茶碗はあくまでも観賞用の器でしかないので前々回から掲載している茶碗も同様で、思い出したようにお茶を飲むときにはいろいろな茶碗を使えば楽しいのかも知れませんが、探し出すのが大変なのでいただいてきた茶碗は箱がなく食器棚に入れてあるのでこれで済ませてしまいます。寂しい限りかもしれませんが、先生の顔を思い浮かべるのも楽しみとなります。

 右端は川瀬忍先生の鎬を入れ少しゆがめた茶碗です。同様のぐい呑もあり以前紹介しましたが、鎬を入れた茶碗には、ゆがめていないものもあり、ヤフー・オークションに一度出てきたこともありましたがその時はあきらめていましたら、後日、画廊の方がこれを持ってこられて手に入れたものでした。川瀬先生の青磁は曲線が多いほど艶かしい美しさを表すのでこちらの方がいいのと思いながらも、オーソドックスなものが基本となるのでそちらもあれば何もいうことがないのですが・・。

 真ん中のものは、備前の隠崎隆一先生の備前の茶碗です。この先生の茶碗はへらで削り上げた造形的なものが多いのですが、こうした丸い形の使える茶碗もありながらあまり見かけることはありません。造形的な茶碗には関心はないのですが、これは非常に気に入ったものでしたが、最近、小ぶりな黒茶碗を見せてもらいこれが今のものが色あせるほど良かったのですが、車検やパソコンの故障と続き縁がなかったのですが、このような良いものも焼くことができる作家だと改めて感心しました。また縁ができることを楽しみにしておきましょう。

 左端は、瀬戸で天目を中心に活動している広島出身の陳岷先生の油滴天目茶碗です。漆黒ではなく茶色がかったもので写真では分かりませんが、細かな美しい油滴が全面に出ています。この先生は独特の小豆色の油滴天目も焼かれておられこれは非常に感じのいいものです。

 ホ−ムぺ−ジには他の作品も展示していますのでご覧ください。


川瀬忍 隠崎隆一 陳岷
青磁茶碗
川瀬忍
備前茶碗
隠崎隆一
油滴天目茶碗
陳岷