ケラメイコス 〜 陶工の町 59

人間国宝−2

 長らくやきものを集めてきているうちには、関心の向くところも変ってきますし、好き嫌いもはっきりしてきます。今から振り返ってみるとなぜこんなものを買ったのかと不思議に思うものも沢山ありますし、その逆の場合もあります。「継続は力なり。」ではありませんが、同じ作家のぐい呑みを時代を追って並べることで、その作家の技術やそのときそのときの作陶の方向性を感じることも出来、楽しみ方の一つとなります。ただ、技術が向上しているのかというと必ずしもそうでもないようです。売る方面に重点が置かれていったり、窯を造り変えてからそれ以前のものが出来なくなったり、新しい方向に向かった作陶に転換したり、私の感性と違ってきたりといろいろな理由が見えてきます。
 集めているうちには、関心のない作家であっても参考のために手に入れてみたり、単に安かったから、また付き合いで買ったというものまでいろいろあります。前回からの人間国宝の作品にしても気に入ったから買ったというよりはダボハゼのように集めているときに出会ったに過ぎないとしか言いようがありません。人間国宝に指定されているような先生の作品には手が出ませんし、掲載している先生方にしても今良いものが出てきたとしてもとても手が出ないのが現実でしょう。振り返ってみて、それなりに良いものも集めてきていたのかなぁと思えばいいのかもしれません。これらの先生方も購入した時ではいろいろなことに挑戦されて力がみなぎっておられた時代の作品です。人間国宝に指定された後の作品よりはこの辺りの時代のものが好きになれます。シンプルなのが一番ですね。
 左のものは、佐渡の無明異焼の窯元に生まれ、東京芸大を出て、名誉教授まで勤められた三浦小平二先生の青磁です。南宋官窯の青磁の美しさに魅せられて無明異焼の赤茶けた土に青磁釉を掛けて独特の美しい青磁を焼成されています。滑らかな肌に深みを感じさせる先生の青磁の中でもトップクラスに位置する出来栄えだと思っています。後には、深みは無いが鮮やかな青磁とシルクロードをイメージした色絵を組み合わせた作品を制作されましたが、いま一つ好きにはなれませんでした。川瀬先生の青磁とは全く趣が違います。私のコレクションを全て処分してもこのぐい呑だけは残しておきたいと思っています
 真ん中は、鈴木蔵先生のもので白い志野のぐい呑です。陶芸ブームのさなかで、若手陶芸家として注目を集めていた存在でした。三浦先生の5倍の値段はしたと思います。この当時の志野は、このように非常に白く、鮮やかな作品が中心でした。志野というと純白という見方しかされてなかったような時代でした。最近の流行は赤が強く、ゴテゴテした感じの志野が多いようで今ひとつ好きになれません。
 右のものは、石黒宗麿先生そして清水卯一先生に師事した鉄釉人間国宝の流れの中に位置する原清先生の作品です。知名度は低いと思いますが、実力者として知られています。特に鈞窯の作品は素晴らしいと思うのですが、なかなか見る機会がありません。

 ホ−ムぺ−ジには他の作品も展示していますのでご覧ください。


三浦小平二 鈴木蔵 原清
青磁ぐい呑
藤本能道
志野ぐい呑
鈴木蔵
白縁の酒盃
原清