ケラメイコス 〜 陶工の町 59
美術品の価格

 やきものに限らず、物を集める方はそれなりの思いがあると思います。なんでも鑑定団を見るのを楽しみにしていますが、偶に素晴らしいものが出てきますし、収集された方の思いに反して手厳しい鑑定をされる方が多いし、またそれが視聴者の楽しみの一つかもしれません。本物か偽物かの判定と同時に価格を提示されていますが、この価格がどのような価格なのかと考えています。画廊や骨董店が表示している販売価格なのか、手放そうとした時に引き取ってもらえる価格なのか、業者の会で成立する価格なのか・・。そうした価格とは関係なく鑑定した人にとってこれだけの価値はあるはずだというものなのか・・・。
 美術業界は不思議な世界です。最近はシンワ・アートオークションや毎日オークションなどオークション会社が運営するオークションが盛んになってきています。ここでの落札額を見ると画廊や古美術店の販売価格は何だろうかという気持ちになるほど低価格で落札されています。落札価格は概ね業者の仕入れ価格と考えればいいのかもしれません。ちなみにデパートの画廊の価格構成は、デパートの利益が25〜30%、値引き代が15%程度、業者の利益が30%とすれば原価は30%以下となります。さらに業者が他の業者から品物を借りてくれば10%程度は原価が下がってしまうことになります。しかし、手放すときにはこの原価で引き取ってくれる業者がいるとは考えられないのが現実です。
 商売目的でない私たちが美術品を購入するのは資産としての目的よりは自分なりの価値観に基づいて購入しているのではないでしょうか。ごく一部の例外を除いて、まず資産価値があると考えること自体間違いかもしれません。先日、古美術店に入って店主と話していると評価の定まった人間国宝の品物を中心に扱い、現在活躍中の作家のものは価値がなくなるので買わない方がいいというようなことを話されていました。資産価値という見方をすればそうなるのかもしれません。しかし価格は需要と供給の関係で決まりますので、当然、過去の人は忘れ去られてしまうのが世の常ですから、ごく一部の名品を例外として、年月を経るに従い需要も無くなってしまい価格も下がってしまいます。ブランド品のバックと同じで、違うのは消耗品ではないだけのことではないでしょうか。
 収集という行為を通じて自分なりに知識を増やすために勉強をします。また、趣味を通じていろいろな人と知り合うこととなり世界が広がっていきますし、自分なりの感性を磨くことも出来ます。こうした代価として考えればいいのではないかと思います。買わないで見るだけで良いのではともいわれます。これまでの経験から自分の手元に置かなければいい面も悪い面も見えてこないというのが結論です。焼けどをするから必死になるのかもしれません。
 先の古美術店主のいった資産という見方をすれば古い傷物を集めることなど愚の骨頂といえるかもしれません。同じような物好きは全国に沢山いて、何でこんな値段が付くのかと思うことがあります。以前に紹介した唐津の古い平杯などはその最たるものといえますし、最近注意を向けている東南アジアのやきものも同類といえます。しかし使い方一つで大いに楽しめる器となりますし、どこの窯か、時代はいつかと調べるのは楽しいし、どうしても比較したいので数集めることになってしまいます。現代の作家のものでも数集めることでその人の作風になり、人柄が見えてくるのが楽しみともいえます。

 ホ−ムぺ−ジには他の作品も展示していますのでご覧ください。


唐津 明 高麗
古唐津陶片
明染付陶片
高麗青磁陶片
柳川里