ケラメイコス 〜 陶工の町 41
酒を呑む器−27 西岡小十

 やきものに関心を持ち出して数十年が過ぎました。その最初のころから関心をもち、懇意にさせていただいた陶芸家が西岡先生でした。福屋でパ−トで個展があり、そのあと唐津の先生の窯を訪ねました。この後毎年のように唐津に行っては西岡先生からいろいろお話を伺うのを楽しみにしていました。金沢に唐津と同じような土があるので窯を築かれそちらにおられることが多くなり長くお会いできませんでしたが、即年8月に亡くなられ、窯も閉められていることは前号で触れたとおりです。インタ−ネット・オ−クションには、次から次にと先生の作品が出てきますが、いいものはまず出てきていません。箱書きのあるものも眉に唾をつけなければいけないと感じるものが出てきています。たまにいいものも出てきてはいますが・・。そのあたりの事情がわかっているから手が出せるものが非常に限られてきます。いいものがあれば拾っておきたいと思ってはいますが、出てこないのが現実です。最近、珍しく原憲司先生のものが出てきているのでそちらに目が向いてしまいます。
 西岡先生のものは、第24号の白い器として斑唐津を載せています。今回は、絵唐津を四点載せてみました。斑唐津や朝鮮唐津にもいいものが多いのですが、絵唐津が一番いいのではないかと思います。しかし、これまで通いつめても絵唐津のいいものが手に入りませんでした。どの種類のものにしてもいいものは個展用に取り除けておられたようですし、窯出しの後に訪問するなどのタイミングの問題もあります。ここに挙げた四点は販売用として出されていたものではなく、先生がお茶を呑まれていたのを見て「それが欲しい。」といっていただいてきたものです。それだけに出来もよく、思い入れも深いものがあります。これらを掌に包み込み、話をされていた姿が思い浮かんできます。
 上段左のものは、「皮くじら」と呼ばれる絵唐津になります。堀の手の古唐津に似たような形のものがありますので、それを意識されて作られたのかと思いますが、似たようなものを探せば出てくるでしょうからたまたま似ているだけなのかもしれません。口周りの鉄釉の発色もよく、ゆったりとした形をしています。確か、窯の温度を見るために途中で引き出したものと聞いたように思います。少し大振りなのでお酒に強い人にはいいかもしれません。最近、「ひこ孫」しいうお酒を飲んでいますが、これは非常に力強いお酒なのでこのぐい呑でグィッとやるのに向いているのではないかと思います。上品な吟醸酒にはどうでしょうか。
 上段右のものは、写真で見るように土色の肌なのですが実際はなんとなく紫色っぽさを感じます。鉄絵の発色が黒々と力強く、釉薬がたまったところは白く、全体に荒い貫入が入り、高台脇の削りも鋭く、力強いカイラキが現れています。その少し上には竹の節のように稜線が一本めぐらされていてアクセントを与えています。
 下段左のものも何の絵か分かりませんが、鉄釉が黒々と発色し、どっしりとした感じのするぐい呑です。手の中に一番納まりがいいサイズですし、呑みやすい肌合いもしっとりとした感じでお酒が美味しく感じるのはこれが一番かもしれません。
 下段右のものは、他の三点とは違って炎の加減で全体が赤茶色に発色し、よく見ないと分からないような細かな貫入が全面に入っており、先生がかなりの期間使われていたのかもしれません。大振りなのでわたしも湯呑として使う方がいいようです。

 ホ−ムぺ−ジには他の作品も展示していますのでご覧ください。


西岡小十 西岡小十
西岡小十
皮くじらぐい呑
西岡小十
絵唐津ぐい呑
西岡小十 西岡小十
西岡小十
絵唐津ぐい呑
西岡小十
絵唐津ぐい呑