ケラメイコス 〜 陶工の町 C 「小山富士夫の眼と技」展を観て

       今回は、肥前陶磁ツア−はお休みして、前回の関連として青磁についてお話します。変更の理由は、先日、萩市の浦上記念館で開催されている「小山富士夫の眼と技」展を見に行き、青磁の最高峰であると云われる南宋官窯の作品のうち、重要文化財「青磁輪花鉢」(東京国立博物館蔵)を見て、いままで見てきた青磁はなんだったのか、と思ったからでした。この鉢は、写真ではよく見ていましたが、ここまで輝きがあるとは、思いもよりませんでした。小山先生は、「碧玉のような美しい青磁釉が厚くかかり、ことに内面がこれほど釉調の美しい青磁はまれである。」と解説されています。吸い込まれるような雨過天青色が眩しいほどの輝きを持っていました。800年から900年も経った輝きとは思えませんでした。いろいろ調べてみたら二重貫入の入ったものとしては、類例の無い美しさを持ったもののようです。かって見た中で印象に残っているのは、台湾の故宮博物院にある「水仙盆」(同じようなものが大阪市立東洋陶磁美術館にあります)でしたが、これほどの輝きはありませんでした。こちらは、貫入のない青磁で静かな佇まいをみせていました。

 また、全面に貫入(釉薬のひび割れ)が走っていますが、中には汚れの無い貫入が見られ、これらは最近入ったものもあるのでしょうか。やきものを窯から出すと胎土と釉薬の収縮率の違いから、ピンピンいいながら貫入が入っていきます。かなり時間がたってもピンという音がするといいますから。

 小山先生は、1975年に亡くなられた国際的に有名な陶磁学者であり、晩年は、陶芸家として活躍された方で、この展観は、先生が特に関心を持たれ研究されたやきもの群と交流を持たれた陶芸家の作品およびその窯で製作された先生の作品が展示されています。この青磁の鉢だけでも一見の価値がありますので、時間が許せば、ぜひ、見学にいってください。

山口県立萩美術館浦上記念館で、平成15年10月26日まで 電話:0838-24-2400
富山市郷土博物館・佐藤記念美術館 平成15年11月1日〜平成15年12月14日まで
岐阜県現代陶芸美術館 平成15年12月20日〜平成16年3月21日まで