ケラメイコス 〜 陶工の町 37
酒を呑む器−26 

 備前焼は六古窯の一つとして古くから栄えてきた産地で、現在でも、盛んに煙を上げており、陶芸作家の数では日本一ではないかと思います。しかし、比較資料がないのでなんともいえませんが、備前焼陶友会のホ−ムペ−ジをみると会員登録している作家の人数が171人、窯元20となっています。小さな町でこれだけの作家がひしめいているのは、それなりに需要があるからかもしれません。ヤフ−のオ−クションは新しいものから古いものまでいろいろ出品されているので産地の人気の度合いを見ることはできると考えられますので、出品点数をみてみると、有田・伊万里焼が6282点、備前が2454点、京焼が2177点、美濃焼 が1088点となっています。私の好きな唐津焼は569点となっています。有田・伊万里焼は古いものが中心ですが、17世紀以降、途方もない数が焼かれ、全国に送り出されているので当然かもしれません。かなり離れた二番目に備前焼が来ており人気の高さが伺われます。しかも現代の作家の出品点数で見ると備前焼がずば抜けているのではないかと思います。良し悪しは別として、無釉焼締ですから灰のかかり方によって、また適当にゆがめることによってそれなりに良く見える傾向があるからでしょうか。土味の良さを生かした備前焼が少ないのは残念とは思いながらも、それぞれの好みの問題ですから何とも言いようがありません。金重一族の土の良さ、森陶岳一門の独特の焼き上がりの魅力。最近流行の黒い塗り土をした黒備前には惹かれるところがありますが、なかなか気に入るものがありません。
 今回掲載した左の二つは伝統的な備前焼ですが、右端のものは前衛的な作品といえます。「これらでお酒を呑みますか?」と問われたら、「呑まないですね。」と答えてしまうぐい呑です。昔、名前で買ったといったものです。自分が使いたいものばかり集めればいいのかもしれませんが、人気がある作家や人間国宝になると考えられる作家また特殊な焼き方をしている作家については、ついつい手を出してしまうことになります。
 左端は、人間国宝になった伊勢崎淳先生のもので、小ぶりな作品ですが、前面に炎に吹き付けられて溶けた灰が炎の激しさをよく現していると思います。榎肌のようにザラザラしたものも面白いかもしれませんが、この写真の様なものの方が飽きがこないといえます。
 真ん中は、山本雄一先生で人間国宝であった山本陶秀先生の長男さんで父親譲りのキッチリした作品を造られます。羽織袴を身に付けたような作品もいいのですが、毎日使うとなると少し砕けた雰囲気のものの方が手に馴染んでくるといえます。えくれしあ第40号に載せた中村六郎先生のぐい呑が備前では抜きん出ているといえます。
 右端のぐい呑は、山本雄一先生の弟出(いずる)先生のものです。これは金備前といわれるもので、金色に輝く窯変が全面に見られ、さらにバラの花ビラを貼り付けています。若いころにはこうしたものや出彩と呼ばれる色を出したものなど造られていました。やはり山本一族の几帳面さがよく出ているといえます。

 ホ−ムぺ−ジには他の作品も展示していますのでご覧ください。


備前ぐい呑 備前ぐい呑 備前ぐい呑
備前ぐい呑
伊勢崎 淳
備前ぐい呑
山本雄一
備前ぐい呑
山本 出