ケラメイコス 〜 陶工の町 33
酒を呑む器−22 

   私が最も関心を持っている陶芸家は、唐津の西岡小十先生、黄瀬戸の原憲司先生そして青磁の川瀬忍先生の3名です。私の中では、それぞれの分野ではずば抜けた存在といってよく、他の陶芸家については関心が無いわけではありませんが今ひとつとの感がしてなりません。青磁の場合、川瀬先生が第一人者といってしまうと「人間国宝の三浦小平二先生が第一人者だ。」と怒られるかもしれません。確かに国の評価はそうかもしれませんし、価格にしても川瀬先生の倍はしています。しかし、人間国宝の評価は必ずしも実力のみで判断されているようでもなく、年齢的なもの、地元での活動といったことなどいろいろな事情もあるようです。十三代太郎右衛門先生も金重素山先生もなぜか人間国宝に指定されませんでした。
 陶芸の世界では、唐津や黄瀬戸では桃山時代の作品が高く評価されていますし、青磁では中国の南宋官窯の作品が最高のものとされています。この三人もまさにそれらを目指し、自家薬籠中のものとされ自分のスタイルを確立されています。桃山や南宋官窯のものがいいとは言っても、好みの問題もありますし、それぞれが目指しているもの、また時代の制約などもあり比較すること自体あまり意味がないのではないでしょうか。最高のものと評価されるものを目指しながらも、今の時代の感性に合った造形ができなければ意味が無いでしょうし、そうかといって奇抜なものを造ればいいというものでもありませんが・・。
 今、青磁の作家は増えてきており、レベルもあがってきています。色合いだけみれば関心のある陶芸家もいますが、色が出ないため釉薬が厚くなってしまって形にシャ−プさがありません。下の写真でおわかりと思いますが、川瀬先生の作品は、これらの点を全てクリア−されておられ、ついつい比較してしまい二の足を踏んでしまいます。しかし、こうした点を逆手にとって成功しているのが嬉野の中島弘先生でしょう。中国古代の青銅器をイメ−ジした作品にはなかなかいいものがあります。
 川瀬先生の青磁の作品というと落ち着いたブル−の青磁と思われるかもしれませんので三つの色合いのものを紹介しました。この三点は貫入の無いものですが、貫入のあるものもあり、それらはまた微妙に色合いが違ってきています。
 左端のものは、27年前始めて手に入れたものです。南宋官窯の写しに挑戦されていた時代のもので、これも川瀬流にアレンジされています。最近の作品と比較すると釉薬のきめ細かさや色合いの深みが少し弱いように思います。
 真中のものは、最近のものですが、青白磁を思わせるような鮮やかな色合いに上がっていますし、現代感覚あふれる作品だといえます。
 右端のものは、緑色のものです。25年ほど前だったと思いますが、耀州窯の作品に挑戦された時期のものかと思います。その時以後、この色のものが造られたかどうかが分かっていません。たまたまヤフ−のオ-クションにでてきたので手に入れました。「ふだんづかいの器」という本の中に、川瀬先生の自宅用の器の中に同じものが掲載されています。
 ホ−ムぺ−ジには他の作品も展示していますのでご覧ください。


青磁ぐい呑 青磁ぐい呑 青磁ぐい呑
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