ケラメイコス 〜 陶工の町 28
酒を呑む器−17〜かわいらしい「のぞき」

 前回は小ぶりな「そば猪口」を紹介しましたが、一般サイズのそば猪口は買ったことがありませんが、いくつか祖父のものがあります。関心が無いわけではありませんが、酒を呑む器としては使い勝手が悪いだけの理由で手を出してはいません。高く手が出ないという面もありますが、それは現実の価格がというよりも自分の価値の尺度に合わないというのが本当のところでしょう。好きな図柄のものが出てきても「いいなあ」と思う程度でそれ以上には進みません。しかし、現代作家のぐい呑となるとついつい深追いしてしまいます。今日も、川瀬忍先生のまだ持っていない形のぐい呑が目の前に現れました。黙って見過ごすこともできず我が家に招き入れることとなってしまいました。この機会を逃せば何時この形のものに出会うことができるか分かりません。全てのことにわたって出会いは大切にしなければいけませんが、懐具合と相談の上、取捨選択もせざるを得ない現実もあり、なかなか難しいところです。ヤフ−のオ−クションには次から次にと面白そうなものがでてきますし・・。夜はこれに時間をとられてこの原稿づくりが遅くなってしまいました。その結果、考えがまとまらないままかわいらしい「のぞき」を紹介することになりました。  今回紹介する「のぞき」は高さ5cm、口径4.5cm程度のかわいらしいものです。このサイズのものは「のぞき」としてはよく見かけますが、酒の器としては少し小さすぎるように感じ、関心も薄かったのですが、今、改めて手にしてみて、使えるなぁと再認識しています。  左のものは、上部に吉祥文である如意頭を簡略化した黄色と青の雲のようなものを描き、下部には染付けで櫛の歯を描いています。その間を四分割し、さらにその中に白抜きの窓をつくり簡略な絵を描いています。外枠と窓との間は緑の紗綾形(さやがた)文と赤の桧垣文を交互に描いています。小さな器ですが、何かしら心がうきうきしてくる感じがします。この図柄のうきうき感でこのサイズの楽しさを再認識させられました。  真中のものは、赤色が基調となり、全体を六つに区画し、白地のキャンバスとひし形文を段違いに配置して変化を付けています。また、赤地に金色の花から草を描いています。全体的に落ち着いた雰囲気を出しています。大振りな「のぞき」は絵画性に重点がおかれているのに比べ、これらの小さな「のぞき」はデザイン性に重点が置かれているのではないかと感じさせられます。その分現代感覚に優れているように思われます。 右のものは小柄で細長いタイプのものです。巻いたコイルを引っ張り伸ばしたような文様で「よろけ文」と呼ばれる図柄のもので比較的よく見かけます。何かを簡略化した文様かと思いますが・・竜を表すのに三角の頭にぐにゃぐゅにゃした棒線で簡略化したものもありますので竜を表していると見ても面白いかもしれません。

花文小のぞき 花文小のぞき よろけ文小のぞき
花文小のぞき
W4.5×H4.9
花文小のぞき
W4.7×H4.6
よろけ文小のぞき
W4.3×H5.3