ケラメイコス 〜 陶工の町 22
酒を呑む器−11〜青い色の器

 今回は青い色の器を取り上げてみたいと思います。青い色の器を考えた場合、釉薬によって青くなるものと素地に青く発色する顔料を用いるものとに分けられます。釉薬によるものとしてはトルコブル−と呼ばれる器全面に美しい青い色を装わせるもので美濃の加藤卓男また九谷の徳田八十吉(二人とも人間国宝)がいいものを焼いています。それぞれ作風は全く異なっており加藤卓男は青い釉薬の下に中近東の図柄を黒い発色の絵として描いていますし、徳田八十吉は青を基調とし黄色や白色などを流しがけにした美しい作品を仕上げています。「いいなあ」とは思いながらもこの二人の作品にはあまり関心がなく集めることはしていませんが、加藤卓男と同系統の作品として安来市で窯を開いている岩坂直のぐい呑があるので左にあげておきます。非常に涼しい感じのするものでこれからの季節、冷酒を飲むのにはいいのではないかと思います。

 また、器肌に金箔を貼り付けその上に青色や黄色また緑色などに発色する釉薬を掛ける釉裏金彩という技法もあります。この技法では、嬉野で窯を開いていた女流陶芸家の故小珀子がいます。最初に尋ねたのは日曜日の朝早くだったのですが、いやな顔ひとつせず、おいしいお茶を自ら自作の湯のみで出していただきました。この湯飲みは、淡い黄緑色の上に金で絵を描いた萌葱金襴手でため息をついたのを今でも思い出します。何度か訪問させてもらい、気さくにいろいろな苦心談など話していただきました。どこの窯に行っても他の作家については言葉を濁されますが、小野先生は、こちらから聞くと地元の作家に対しても歯に衣着せぬ批評をされていました。苦労の末、釉裏金彩という技法を確立されたことからも仕事に対しては非常に厳しい姿勢をとられていたからでしょう。同じ技法の作家に九谷の吉田美統(人間国宝)がいます。小野先生がもう少し長く生きていればなぁと思いますが・・。

 これら釉薬によって色を出す技法と違って器肌に青く発色する顔料で模様を描くものがあります。染付といわれるものです。これは、中国の元の時代ごろ開発された技法で呉須とよばれる顔料で器肌に直接絵を描き、その上に透明な釉薬をかけるものです。古伊万里などの青い絵の描かれたものがそれです。白地と藍色の対比は何かしら心をくすぐられてしまい、ついつい手を出してしまいます。とはいっても新しいものではなく、古いものに。やはり時代の重みというか、白の肌合いと藍色のバランス、絵柄、器形などからみていくと古いものに面白いものが沢山あります。今の生活様式の中では本来の用途には使えないでしょうが、使い道を工夫すれば面白いとおもいます。そば猪口をコ−ヒ−カップや湯呑に使うのもいいし、ちょっとした料理を入れてもいいし・・。古ものを買おうと思って骨董屋さんを覗いても結構高い値段がついていますので、たいていヤフ−のオ−クションで買っています。器形・絵柄・発色など傷のない完品は良い値段がついていますし、また時代の判定なども難しいことから安く手に入る傷物を物色し、傷の大小を問わず内容のいいものであれば集めるということにしています。こうして集めたものが食器棚のなかに沢山鎮座されていますが、これらは次回以降紹介することにして、今回は、先に述べた岩坂直のほかに、伊万里のものを紹介しておきます。真中のものは、本来右端にあるような青い絵を描く呉須を釉薬に溶かし込んで器全体を青く染めたもので瑠璃釉と呼ばれています。さらにこの上に金彩で絵を描いています。右端は呉須で絵を描いた染付ですが、本来の用途は何だったのでしょうか。厚めの造りになっていますのでぐい呑として非常に使い勝手がよくものです。

碧釉 瑠璃金彩 染付
碧釉ぐい呑 岩坂 直
瑠璃金彩猪口 古伊万里
染付けぐい呑 古伊万里