ケラメイコス 〜 陶工の町 N  酒を呑む器−2〜青磁-1

   皆さんはお酒を飲むときどんな器をお使いですか?特別こだわらない方か大半だろうと思いますが、そうはいってもビ−ルはガラスのコップを使われるのではないでしょうか。一部には備前焼などの焼締の器を使われているでしょうが、テニスの後のビ−ルを湯のみで飲むのでは清涼感が違いますよね。これと同じでその時と場にあった器を使えばお酒もより美味しく楽しめるのではないでしょうか。ビ−ル、清涼感との言葉が出てきましたので、涼しい感じのぐい呑みを取り上げて見ましょう。当然、青磁ということになり青磁といえば、何はさておき、「川瀬忍先生を置いて誰の所に行きましょう。」となってしまいます。

 ただ、「青磁の色は何色ですか?」と問われればなかなか答えが難しく、「こんな色です」とはいえない面があります。確かに、下記に掲載したもののように空色もあれば、室町時代に天竜寺船で舶載された緑色の天竜寺青磁、韓国の高麗青磁のようなもの、お茶をやる人では珠光青磁といわれる朽葉色のものもあります。色から青磁というやきものを定義づけることは不可能で、釉薬の中のなにが呈色剤になっているかで判断しなければなりません。すなわち「鉄」ということになります。それも2〜3%程度の鉄です。5%程度で飴色、8%では天目茶碗のような黒色となります。従って、「2〜3%程度の鉄を呈色剤としたやきもので色は問わない。」と定義していいかもしれません。

 下記に川瀬先生と三浦先生のぐい呑を掲載してみましたが、川瀬先生の青磁の美しさ・なまめかしさが伝わってきませんので、川瀬先生のHPでご覧ください。青磁の作家では三浦小平二先生(人間国宝)、が上手いのですが、川瀬先生との違いは透明感に乏しい点です。粉をまぶした様なエメラルドグリ−ンの湖を見せてくれる白根火山の火口湖を思い浮かべます。あくまでもブル−の青磁なんですが、白根火山の火口湖のような粉をまぶしたような感じを思い浮かべてもらえばいいかと思います。下に掲載していますが写真が下手で色の調子が今ひとつですがある程度は比較出来るかと思います。

 川瀬青磁の素晴らしい点は、非常にうす造りであり、釉薬も薄くて吸い込まれるようなブル−の発色と、この釉薬の美しさを引き出すように器自体が微妙な曲線を持っている点です。青磁の最高峰は中国南宋の郊壇官窯であり、青磁作家の理想とするところですが、これに匹敵し得る域にまで達し、独自の作風・世界を築かれています。違う点は、郊壇官窯の力強よさに対して、女性的なナイ−ブな優しさの中にも凛とした手の切れるような鋭さがある点でしょうか。これまでは郊壇官窯の作品に特別の感情を持っていませんでしたが、昨年、萩の浦上記念館で開催された「小山富士夫の眼と技」展で南宋官窯の青磁輪花鉢(東京国立博物館蔵)を見てその見込みの美しさには吃驚しました。写真では良く見知っている作品でしたが、その抜けるような鮮烈な雨過天青のブル−の鮮やかさを持っているところまでは写真では再現できていませんでした。ただの美しい南宋官窯の青磁であったものがまさに神品とよばれる宋の時代の白眉、人間業とは思えない美しさを目の当りにして川瀬先生の青磁も霞んでしまいました。

 最近はまた川瀬青磁に回帰してきていますので、東京まで行ってあの青磁輪花鉢を見て頭の中をリセットすればやきものなんかもう集めないとなるのでしょうが、またそれも怖いことで・・・。

    川瀬忍先生のHP  : http://www.gardencity.or.jp/~shinobu/
    東京国立博物館のHP: http://www.tnm.go.jp/