ケラメイコス 〜 陶工の町 L  唐津市周辺−4

   前回は、浜玉町周辺の凌雲窯と幸悦窯の話しでした。浜玉町は、福岡方面から海沿いを来て虹の松原に入るあたりです。窯元巡りが忙しく、食べることに時間を取られたくないので未だ行ったことはないのですが、浜玉町に、「飴源」という天保9年創業の川魚料理の老舗があります。洋々閣に泊まって、中里隆先生の器で食事をし、昼は、太郎右衛門さんの食器を飴源でたのしみ、川島豆腐でまた中里隆先生の器を愉しみ、波止岬でサザエのつぼ焼きを味わえば何も言うことはありませんが、行く先々で長話をしてしまうし、夜は土平窯で一杯飲むのが楽しみですから、私には、一泊では少々無理があります。唐津に行かれるときは、この四点セットと隆太窯、凌雲窯、土平窯そして三玄窯程度にすれば十分可能ですから、試してみられてはいかがでしょうか。

【曹源窯】
 この窯の特色として挙げられるのは、山瀬の土の作品を造っているということにあります。古唐津の世界において、山瀬のぐい呑みは非常に珍重されています。山瀬の土は唐津では異色の土で、磁器に近く、磁器のようにしっかり焼き締められながらも、まったく固さを感じさない柔らかな土味を見せてくれます。使い込めばキメ細やかな貫入が器全体に入り、なんともいえない良い味が出てきます。ただ、造り手にとっては非常に扱いが難しく、茶碗程度の大きさのものまでしか轆轤でひけないとのことですし、底割れもしやすく、扱いの難しい土であるため山瀬の土を使っている窯にまず出会うことはありません。使いにくいこともありますが、それ以前の問題として、この土は山瀬という村の池の中にあるため池が干上がらないと採取できないこと、また、その土はこの曹源窯が全て買い取っているとのことですからなかなか手に入らないこともあるかもしれません。この窯以外では幸悦窯が焼いている程度です。曹源窯の特色はこの山瀬の土による作品ということになります。かなり使い込まないと貫入も入いってきませんが、既に何らかの処理をして貫入を入れた器も展示販売してあります。料理屋さんからも貫入を入れた状態で納入以来があるとも話されていました。中国で古陶磁器の偽物を造る方法として圧力鍋を使うと書いている本がありましたのでこの方法かもしれませんが、正確なところは分かりません。

 先生は好感のもてる丸顔で、どんぐり眼の元気のいいやんちゃ坊主といった感じです。今回は、窯焚きが終わった日の朝というお疲れのところでしたが、いろいろ話しを伺い、わざわざ窯を開いていただき、中で冷まされている様子も見せていただきました。温度が下がるにつれ、胎土と釉薬の収縮率の差で貫入が入っていくピンピンという音もしっかり聞くことができました。また、窯の構造についていろいろ独自の工夫をされているようで、焼成室と焼成室の隔壁に開ける狭穴の数、大きさを工夫することによって変化のある作品を狙っているとのことでした。  少し古い雑誌ですが、サライ(2000年11/2号)の特集「座右のぐい呑みを探す」で、窯を背景にした先生と朝鮮唐津の徳利と斑唐津のぐい呑5点が掲載されています。

【三玄窯】
 13代太郎右衛門先生の弟で、中里隆先生のお兄さんに当る中里重利先生の窯です。お二人の豪放な作風とは異なり、几帳面で、繊細な筆遣いによる絵唐津が素晴らしい窯です。絵唐津の作品に関しては他の窯と比較し、ずば抜けていると思いますが、その反面几帳面すぎて、かたぐるしさを感じるところがありますし、古唐津の作品に囚われてか、今ひとつ、凌雲窯の現代感覚あふれる作品と比べると物足らなさを感じ、今の食卓には調和しにくいかもしれません。とはいっても、古い絵唐津に負けないだけの迫力がありますし、窯の作品は、手ごろな値段でもあり、どうしても欲しい作品です。

 中里三兄弟の作品は、どのデパ−トでも食器売り場で展示していますのでご覧ください。

 この三つの窯も世代交代がおこなわれ、太郎右衛門窯は14代に、隆太窯は太亀先生も活発に活動されていますし、三玄窯では、嘉孝先生が独立して嘉孝窯で活動されています。

          

お 勧 め の 窯 場 の 所 在 地
曹源窯 佐賀県東松浦郡浜玉町平原甲1064-1
   http://www.sagatokimeki.ne.jp/toujiki/kamamoto/37/sougen.html
Tel 0955-56-2188
三玄窯 佐賀県唐津市神田山口332
  http://www.umakato.jp/waza/aitai/ano03.html
Tel 0955-72-8664