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技能実習生問題とサル知恵


 昨日フィリピン人技能実習生の残業代の問題で団体交渉を行ないました。私自身労働組合の組合員ではないため特別執行委員と言う名目で参加しています。私自身はあくまでも一介のボランティアに過ぎません。フィリピン人技能実習生を支援する会は単なる寄付を受ける受け皿に過ぎないので会員が居る様な居ない様なものなので場所を借りたりイベントの主催団体以外でこの名称を名乗ることは有りません。当然本業の社会保険労務士として活動している訳ではありません。しかし名刺はこれしかない為、名刺を渡しながら教会関係で相談を受けていますとあいまいな挨拶をします。教会は待ち合わせ場所として分かり易いこととロビーを利用すれば施設利用料もかからないことから勝手に利用しており、私も信者なのでこの言葉も的外れではないでしょう。

 昨日の団交ですが、会社の回答があまりにもお粗末と言うか、人を馬鹿にしていると言うか、それ以前にそうした指導をしたと思われる社労士さんに情けない思いを抱きました。昼休みを10分繰り上げて仕事をさせていることについての回答として、「社員が自主的に仕事を始めているので労働時間とは認められない」と言うものでした。事務系の職場ならいざ知らずラインが動きに併せて仕事をしている職場で全員が自主的に仕事をする、勝手にラインを動かすことなどできるはずがありません。また終業時間が4時50分なのに17時とか18時と言う終業時間の問題です。これに対する会社の回答は、「昼休みは就業規則で50分なので残業となるとあと10分の休憩を与える必要がある。終業前の10分間はタイムカードを押しに行く時間も含めて休憩時間として扱っており労働時間ではない」との説明でした。会社の社労士さんに相談したとのことでしたので、最初の団交では出てこなかったこうした説明は社労士さんに知恵を付けられたのでしょう。私も社労士ですし、ユニオンも労働問題のプロですが、そうした説明で納得する程度の知識しかないと馬鹿にされたようです。そうすると会社が示した改善策も全く信用することはできなくなります。会社を守るため契約している社労士さんが平気で法律違反している会社に対して、相手に知識が無ければごまかし、間違いと指摘されれば撤回すると言うサル知恵を授けることは会社をより不利益な立場に追い込むことになりかねないという危機意識への配慮が欠如していることを意味しています。それを鵜呑みにする会社も安全も含めて危機意識が欠如しているとしか言いようがありません。

 この時点で交渉を打ち切り労基署に行けばどの様な結果になるでしょうか。全ての従業員に問題が波及する可能性も有りますし、技能実習生の賃金未払は受入停止の罰則にもかかわる問題です。こうした順法精神に欠けた誠意のない回答は、安全意識・危機意識が抜け落ちたサル知恵でしかありません。「作業着への更衣時間は労働時間なのかどうか」と言った争いならお互いに言い争いは出来ます。法律的にグレーゾーンの問題と黒か白か明確な部分を腑分けしてアドバイスするのが私たちプロの仕事です。会社に耳触りのいい言葉しか口にしなければ太鼓持ちにしか過ぎません。「私はプロフェショナルです。」との言葉を良く耳にします。「プロだからお金をもらわなければいけない。」と聞いたこともあります。お金をもらって何かするのがプロでしょうか。依頼を受ければお金をもらう貰わないにかかわらず最高の結果を出すのがプロフェショナルではないでしょうか。依頼主の言葉だけを頼りに当然支払うべきものを支払わず、嘘にウソを塗り重ねた結果、当初の10倍の支払いをせざるを得なくなった裁判はいくつもあります。こうしたことを未然に防ぐのがプロフェショナルの役目ではないでしょうか。

 技能実習生や外国人の問題に係っていると、『智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。』をどのようなバランス感覚を持って対処していけばいいのがいつも悩まされます。