Drifting too far − 15
わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか?

 ここのところ天候不順というか寒い日々が続いています。この時期ですから寒くて当たり前のことなのに、これまで暖かすぎた反動からか寒さを感じてしまいます。お天気は時々刻々変化しています。当然私たち自身も同じことが言えますが、ただ違うのは私たちは一定の年数生きれば生命が終わってしまうことです。身体は成長していき、何時の間にか衰えだしていきます。こうした変化になかなか気づかず、気づいても受け入れることには難しいところがあります。年齢に応じた生活を送っていければいいのでしょうがこれも難しいことです。しかしこうした衰えを突然意識させられる日が来ます。「あなたがたが放縦や、泥酔や、世の煩いのために心が鈍っているうちに、思いがけないとき、その日がわなのようにあなたがたを捕えることがないように、よく注意していなさい。」(ルカ 21:34)まさにそうです。しかし突然来るとは言いながらいろいろな前兆には気がついているはずです。それを早いうちに気づいて対処すればいいのですが、分かっていながら放置してしまっているのが現実ではないでしょうか。
 テニスをやっていても微妙にタイミングがずれ始めてきますし、試合に負けても悔しさを感じられなくなりいつの間にか試合から遠ざかってしまう。その結果体重が増加するということになってしまいます。昨年の暮れから股関節が痛くなり、歩くのが突然難しくなるということがありました。以前には、膝が痛みこれも歩くことが出来ない状態が数分続いたことがありました。検査の結果、半月板に小さな傷があるためと分かり、その後痛みもなく今日まできていますので、これと同じだろうと思っていたら、恒常的な痛みに変わっていきました。数年前にMRIで股関節が少しへばっている。変形股関節症といわれていました。当時多少の違和感があったからMRIを撮ったのでしょう。昨年7月、別な先生に再度撮ってもらい、整形外科にかかるように言われながらもそのままにしていました。痛みにはかなわず整形外科を受診すると、「右の股関節の隙間が狭くなっている。変形股関節症です。山登りも、テニスもダメ。プールへ行くのが一番ですし、中臀筋を鍛えるリハビリを教えるので毎日やってください。それと毎週1回の割合で5回、股関節にヒアルロン酸を注入して磨り減った軟骨の滑りをよくしましょう。体力のある65歳ぐらいで人口股関節にやりかえると入れ替える必要も出てこないでしょうし・・。」と改めて宣告されると分かっていたこととはいえ、それなりにショックを受けてしまいました。早速本を探して読んでみると変形股関節症は先天的に臼蓋骨形成不全の女性が8割から9割を占めるとのことで、自分は例外的な存在かと気づかされました。命に係わることもなく、動かなければどうということもないのでまだ気が楽なのですが、仕事を続ける以上歩くことを止めるわけにもいかないし、歩けば進行していくし、おまけに自宅には坂道を登らなければならないし・・。また、私の周りを見回すと、車いすの人やポリオに罹った人たちが沢山います。彼らは健常者以上に元気はいいし、活動範囲も広い。テニスや会合に参加するたびに元気をもらって帰ってきていましたが、いざ自分がその玄関口に立と「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか?」と嫌味を言いたくなってしまいます。
 この言葉はイエスが十字架に架かったときに発した言葉で、マタイの27章46節と、マルコの15章34節に出てきます。このフレーズだけを取り上げればあきらめの言葉、恨みの言葉ということになります。しかし、この言葉の基になったのは詩篇22章1節で、「わが神、わが神、なにゆえわたしを捨てられるのですか。なにゆえ遠く離れてわたしを助けず、わたしの嘆きの言葉を聞かれないのですか。」から始まりますがどのような状況に陥っても神への信頼は変わらないことを歌ったもので、当時のユダヤ人は冒頭のフレーズだけで全てを理解したといわれています。イエスやアッシジのフランシスコのように強くはない私は素直に受け入れるまでにはいたっていませんが、「求めたものは一つとして与えられなかったが願いは全て聞きとげられた。神の意にそわぬ者であるにもかかわらず心の中の言いあらわせない祈りはすべてかなえられた。私はあらゆる人生の中でもっとも祝福されたのだ。」( ニーヨーク大学リハビリテーション研究所の壁に刻まれた詩・作者不祥) ※という詩には共感できます。確かにこうしたことはこれまでたびたび経験してきました。何かしようとすれば不思議とネットワークが繋がっていきます。これからどんな展開があるのか楽しみにしていきたいと思っています。
 ※「人生の祝福」はアレオパゴスのHPに全文掲載されています。(http://ww4.enjoy.ne.jp/~k.komatsu/)