本 の 紹 介


奇跡の生還へ導く人〜極限状況の「サードマン現象」〜
ジョン・ガイガー著 新潮社 1800円



 読売新聞に著名人がこれまでの人生を連載で振り返っている「私の履歴書」という欄があります。今、三浦雄一郎が連載していますが、今日の記事の中にエベレストで遭難状況の中で誰か分からない第三者から励まされたという記述がありました。このようにはっきりとはしないまでも誰かに励まされているような気配を感じたことがある人は多いのではないでしょうか。単なる錯覚として切り捨てることもできますし、カトリックでいう自分の守護天使が守ってくれていると感じてもいいでしょうし、また長い人類の歴史の中で祖先が経験してきた経験が私たちのDNAの中に記憶されている何かが呼びさまされたといってもいいかもしれません。守護天使の例に倣えれば普段私達には感じることのできない霊的な世界が存在すると理解することもできるかもしれません。ただ危機が去り、生還し何の心配もなくなり心が軽くなったときにはそうした存在・感覚は消え去っており確認することもできないた口外されることも少なかったのかもしれません。
 前書きの最後に、「サードマンは、私たちが根本的にいかに一人であるか、と同時に、人間がいかに他人とつながる可能性を持ち続けているかを物語る。最悪の時でさえ、救いの手があらわれるかもしれないことを私たちに教えてくれる。」とあるように困ったときの神頼みや火事場の馬鹿力ではありませんが私たちの体には想像もつかない能力が潜んでいることに気づかず、またこの世界も自分の背丈を中心に理解したことで満足していることからそうしたものを無視してしまっているのかもしれません。生きたい、合格したいと本当に必死になった時の思いがこのサードマンとして現れるのでしょうか。よい方向であれ、悪い方向であれ必死になった人には思い当るものがあるのではないかと思います。この本は、こうした記録を集めさまざまな方向から検討しています。それらがどのようなものかは別として読み物としても楽しめます。