本 の 紹 介


ニッポン異国紀行〜在日外国人のカネ・性愛・死
石井光太 著 NHK出版新書 860円



 2年ほど前の深夜にフィリピン人技能実習生が交通事故で死亡しました。そのときフィリピン人の遺体は火葬しないままに帰国させるということを知りました。大阪に送られ防腐処理をされた後、成田から空輸され、この費用が200万円近くかかるということ聞きました。フィリピンでのお葬式のことについて訊ねてみると遠隔地から来る人のために防腐処理をして1週間も2週間も遺体のまま安置し、その期間の長さによって防腐処理の費用が違うとのことでした。この本は私が関心を持った遺体処理についての第1章「外国人はこう葬られる」から始まっています。このあたりの処理をエンバーミング呼ぶそうです。またイスラム教の人たちが日本で埋葬されるときは土葬であり多磨霊園にその墓地があるとのことにも驚かされました。
 こうした特殊な点は別にして外国人との付き合いが多くなれば私達は文化やものの考え方の違いを理解しているとの錯覚に捉われているのではないかと思います。また非合法の世界のことについても「以前他人の名前で日本に来ていた」とか「ビザが切れるので結婚する人がいないか」といった程度のことは聞いてもそれ以上のことは全く分かりません。この本が触れているのは合法非合法を問わず副題にあるように「在日外国人のカネ・性愛・死」についての側面です。第2章「性愛にみるグローバル化」、第3章「偉人達の小さな祈り」、第4章「肌の色の違う患者達」の章立てとなっており、特に韓国の教会が行っているホームレスに対する炊き出しや日本の宗教の海外布教のありかたなど、また本論とは関係のないコラムで触れられているものが非常に面白いし、こうした社会が私達の目の前にあるのに気がついていないのが現実です。コラムには「中古車輸出」や「インド料理屋」かどあり、インド料理屋はインド人かつくっているのではなくパキスタンやネパールなどインド人と似た周辺の国の人たちが料理をつくっているというのにはびっくりしました。近所らネパール料理の店がありますが面目な経営者なのでしょう。客足がどうなのか心配してしまいますが・・。