本 の 紹 介


生かされて   イマキューレ・イリバギザ 著 PHP研究書 1600円
ルワンダ大虐殺  レベリアン・ルラングァ著   晋遊社   1300円



 本屋さんでノンフィクションの棚を眺めていたらルワンダ大虐殺の中を生き延び、家族や仲間たちすべて殺されながらも神を信じ、敵であるフツ族の人たちを許すことができた女性の書いた本と紹介されていた「生かされて」が目につき眺めてみました。ルワンダ大虐殺がどのようなものか分からないまま興味を持ち読んでみました。「ルワンダ大虐殺」の方も同じように生き残った著者が書いたものですが、こちらは虐殺の現状を目の当たりにし、自らも片手を切り落とされ、片目をえぐられ奇跡的に生き残った著者の書いたものです。
 このような大虐殺が同時代に行われながら私の記憶の中には全くありません。ポルポトによる大虐殺の状況は知らないまでもひどい様相は多少は頭にありますが・・。この事件は少数派のツチ族が多数派のフツ族に虐殺されたもので100日間に100万人のツチ族が虐殺されたといわれています。「ルワンダ大虐殺」にはそのあたりの状況が子細に報告されており常軌を逸したヒステリー状況の坩堝の中を生き延びたこと自体奇跡としか言いようがありません。一方、「生かされて」はフツ族の牧師さんの自宅のトイレに6名の仲間とともに数カ月隠れ、その後、虐殺の現場の中を生き延びた女性の記録です。
 おなじカトリックの信仰を持ちながら一方は神への信仰を持続し、家族や仲間を虐殺したフツ族を許し、他方は神を否定し、フツ族への憎しみを募らせていきます。どちらが正しいかというとらえ方をするような問題ではなく、それぞれの思いをそのまま認めなければならないでしょう。私自身後者の方に共感を覚えます。しかしそれでも彼の中に神はいるはずです。今の日本の平和な生活の中できれいごとを言っている人たちの中にこそ神はいないのではないでしょうか。昼間に提灯をぶら下げて神を探さないように警鐘を与えてくれる本でした。