本 の 紹 介


@釜ケ崎と福音   本田哲郎著 岩波書店 2,500円
A聖書を発見する  本田哲郎著 岩波書店 2,500円


 本屋さんで聖書を探してみるといろいろな種類がありどれを選べばよいか迷います。しかし多少の違いはあっても内容的に違いは少ないといえます。ここに紹介した著者も福音書、使徒行伝と幾つかのパウロの手紙の個人訳を出しています。それらを初めて読んだときは、なかなか馴染めないところがありました。その理由は、社会の底辺であえいでいる人たちの視点で聖書を読み直し、原典に当たって正確な翻訳を試みたことに原因があるといえます。
 著者はフランシスコ会に属する司祭で、長年釜ケ崎で活動を行っています。釜ケ崎での活動を通して、これまでの施しとしての支援のあり方が間違いであり、相手がどのような気持ちで支援を受けているのかを感じ取らなければいけないことに気付き、相手の立場、すなわち社会の底辺に追いやられた人々への共感をもって聖書の読み直しに着手した経緯を述べたのが「釜ケ崎と福音」です。自分の行っていることと重ね合わせて、またクリスチャンといわれる人々に違和感を覚えるわたしにとって素直に受け入れることが出来るものでした。くじけそうになると読み直してきた本です。読みやすいエッセーとして報告されています。
 「聖書を発見する」は底辺からの視点で聖書を読み直し、原典に当たってこれまでの翻訳の間違い、新しい言葉での翻訳という立場から聖書の読み直し作業を解説したものでキリスト教の信仰の有無を問わず考え方として、またこうした問題に関心のある人には大いに参考になると思います。
 日々の苦悶を通じて築かれた開放の神学として理解していいと思います。