本 の 紹 介


コンタクトゾーン 篠田節子 著  毎日新聞社  1,900円



 篠田節子の作品にはものすごい馬力で読み手を引き込み一騎に読ませて仕舞うところがあります。中には「神鳥(イビス)」のように臨場感を伴って恐ろしさが迫ってくる作品も有りますが、この本は痛快活劇といってもいいようなもので、疲れたときには丁度よい本でした。内容は三人のOLがフィリピン辺りの架空の国に旅行にいき、恥さらしな日本人から、内乱に巻き込まれ昔の日本にもあった地域共同体での生活を余儀なくされ、そうした生活に目覚めると共に人間本来の行き方を取り戻していく過程を描いたものと考えていいのかもしれません。都会での生活に疲れ、少し開き直った生活から人間らしさを取り戻していく様子は私自身も共感を覚えながらも彼女達のように自分の意思ではなく内乱に巻き込まれ生き延びるためにいやいやながらそうした生活を送らざるを得ない状況に置かれなければ不可能かもしれません。生きるためにあくせくした日々の生活を送ることをわずらわしく思っている私にとって「生きるとは」ということを気付かせられましたがそれはこの本を読んでいるときだけでよしとして、取り敢えずは憂さ晴らしに楽しい本だったということで十分かもしれません。今は宮部みゆきの百物語に嵌っています。