本 の 紹 介


   レンタルチャイルド〜神に弄ばれる貧しき子供達  新潮社  1,500円
   バタス〜刑務所の掟                   講談社  1,500円



 最近読売新聞の書評でみた本とそれ捜していて見つけた本です。探していたのは後者の本で、日本の派遣切り、ホームレスの問題などと比較にならない凄まじい世界がありました。国はインド。本を開いてびっくりしたのが第1部の扉の写真でした。一人の物乞いが写されています。名にかよく分からないまましばらく眺めているうちに両手両足がそれぞれ根元から無いことに気付きました。同じような経験が車いすテニスでもありました。普段は義足で歩いている人が競技用車いすに義足を外して乗っているのを見てショックを受けたことがありました。脊髄損傷の人に言わせると1Cmでも足があれば踏ん張ることが出来われわれとだいぶ違うとの言葉にも驚かされました。しかしこの本の世界はこんな平和な世界の話ではなく、生きるため、少しでも施しを多くもらうために腕を切り落としたり、目を潰されたり、死んだ人間を焼くための薪代を得るための名目で街中を引き回すなど想像を絶する世界が最初から最後まで綴られています。なんら明るさが無い中にも、そこで暮らす人たちの心の通い合いが僅かな救いとなります。何故神はこのような世界を造ったのか。ヨブの話は豊な生活を経験し、悲惨な目にあい、最後は救済があります。この物語は神の気まぐれとしか私には思えませんが、しかし彼らのおかれた現実は生まれて死ぬまでこうした世界しかありません。戦争やテロで死んでゆく人たちの場合それなりに納得できますが、レンタルチャイルドに描かれた世界はナンなんでしょうか。平和な世界でグズグス言っている私たちはナンなんでしょうか。神が・・などと話すことも出来ない世界です。絶句するしかないかもしれません。
 もう1冊のバタスはフィリピンのモンテンルパ刑務所内の状況の報告です。日本では考えられないような自由があると同時に幾つかのプリズン・ギャングの集団があり、武器まで持っている有様です。フィリピンは危険とフィリピン人自身が言うのも、研修生たちが警察を怖い存在としか感じていないのもうなずける気がします。ただこの本の主人公は日本人でプリズン・ギャングのトップまで上り詰めた男の話です。まともなルートを外れた遊びの怖さがあることも分かります。こちらは主人公にとっては悲惨であっても読者については楽しみながら読むことが出来ます。しかし、2冊の本が示しているのは私たちは地獄の中で生きているということかもしれません。