本 の 紹 介


1.働きすぎに斃れて 〜 過労死・過労自殺の語る労働死 
                         熊沢 誠 著   岩波書店   3,200円



 過労死過労自殺が取りざたされてかなり時間がたち、極当たり前のこととして語られるようになりました。しかし過労死が広く知られるに従って過労死が発生しないような配慮がなされる一方労働の現場では全く配慮がなされていないというのが実体ではないでしょうか。過労死でなくなって一番問題になるのは労災保険の適用であり、さらに健康配慮義務違反に対する損害賠償請求となります。後者が問題となるのは会社が業務が原因と認めず労災申請を行わなかった場合に労災保険認定請求と同時に訴えられるというパターンとなります。この本は、過労死が問題とされてきた背景を実際の事件紹介しながらその時代時代の様相を描いています。トラック輸送、工場や建設現場、証券業界や教育現場などの事例を積み上げて今日までの歴史や問題点を指摘しています。当然、残された家族の思いにも触れています。その一つを紹介しておきます。「あなたが仕事をしていたころ、毎晩(朝)帰宅が遅いのに私が心配して、転職をすすめたことがありました。会社をやめてほしいと何度も言いましたね。でも、家族のためにこれだけの仕事をしているのだ。社会的責任もあるのだと、そして私が自分の気持を理解してくれないと、あなたは言いました。そして死んでしまった。あなたが守りたかったものはなんだったのですか。死ぬほど大切にしたかったのは、なんだったのですか。・・・あなたが生涯かけてやりたかった環境保全の仕事はたしかに、だれにでもわかるほど素晴らしい仕事だと思うのです。そして真面目に努力して、コツコツと仕事をやりとげ、評価も受けた。やりたい仕事で死ねて本望ですか?」