本 の 紹 介


1.静かな大地          池澤 夏樹 著   朝日新聞社   2,300円



 今でこそ北海道は開けて、気軽に観光にいくことができますが、この大地を開拓した人たちの凄まじい苦労を思うこともなく自然の風景と美味しいものを食べることに心は向かっていきます。この本は廃藩置県で淡路の稲田家が静内に移住しそれに伴って移住した家臣である宗形家の子供三郎と志郎の成長と彼らが行う開拓の物語となっています。和人がアイヌを差別し追い詰めていき、鮭や鹿を捕りつくし、環境を破壊していく様子や砂金取りのことなど様々な出来事を盛り込みながら和人の兄弟とアイヌの協力により一つの牧場を中心とした共同体をつくり上げまたそれが崩壊していく過程を描いていきます。大河がゆったりと流れていくように淡々と描かれていき、特別なドラマがあるわけでもなく何時の間にか引き込まれていってしまいます。大きな時代のうねりを感じることが出来ます。こうした埋もれた歴史がいたるところにあり今の日本があるのでしょう。
 吉永小百合が主演した「北の零年」も北海道開拓を描いており、同じ静内を舞台にしていることからこの本の映画化と考えていましたが、調べてみるとたまたま同じ静内が選ばれただけで関係はないようです。