本 の 紹 介


1.神の器 上・下           申 翰均 著   里文出版   各1,575円
2.井戸茶碗の謎          申 翰均 著   バジリコ       2,000円
3.李朝白磁のふるさとを歩く   山崎 佑次 著  洋泉社      2,730円



 今回は李朝陶芸関係の本を3点紹介します。「1」と「2」の著者は韓国の陶芸家で井戸茶碗に造詣深く独自の考え方を「2」で展開しています。井戸茶碗は従来韓国の雑器と説明されてきていましたが、著者は祭器であり、2世代立つと粉々に壊して土に埋めため韓国には存在していないと説明しています。また高台が高く小さいため、日本のように茶碗を手に持たずお膳に置いたまま食べる韓国では使い勝手が悪いが祭器であれば問題もないし、祭器は高台を高く造るのが決まりとなっていたことなどをその理由としています。また井戸茶碗の枇杷色は宮廷で使用されていた真鍮の色を写したもので黄色い胎土に透明釉を掛けていると説明しています。また白磁が焼かれ始めると造られなくなり秀吉の朝鮮出兵時にはその技術は忘れ去られており、日本に沢山請来されているのは祭壇に祭られていた井戸茶碗を日本の大名達が血眼で略奪していったからとしています。
 その当りの真偽のほどは分かりませんが、こうした自分の説を小説として日本に拉致されてきた一人の天才陶工を通して表現したものが「神の器」です。小説というか作文レベルといったほうが良いかもしれませんが、やきもの戦争といわれる秀吉の朝鮮出兵と唐津焼、有田焼、上野焼、高田焼や萩焼との関係また有田焼の興隆と窯場の統合の経緯などが良く纏められているのでやきものに関心がある人にとっては大いに楽しめると言えます。韓国ではTVドラマ化されるとのことでそのうちテレビでも見ることが出来るかもしれません。
 「3」は神戸で骨董商を営む著者が朝鮮白磁の壺に魅せられ、その本籍探しに韓国の古窯址を巡り歩いた記録です。17の窯址を訪ねており、そこで収集した陶片がカラーで掲載されています。ただ、この壺は17世紀の頃のもので、初期の白磁窯は対処となっていないのが残念ですが、やきものに関心がない方も楽しく読めると思います。一つの陶片から様々な空想を広げるのがやきものマニアの楽しみといってしまえばそれまでですが、一つのロマンとしてその背景にあるものがこの3冊に込められているといえます。