本 の 紹 介

1.遊子館歴史選書8 妖したちの時代劇  笹間良彦著  遊子館  1600円


 幽霊・妖怪や狐や狸に化かされた話には何かしら心が惹かれてしまい京極夏彦の巷説百物語シリーズなど寝るのを忘れて読みふけってしまいます。こうした話を読んで感じるのは人間の悲しさや哀れさです。また主人公は大抵社会の下層で生活に苦しみ社会の動きに翻弄されている人たちです。そうした者達の心の中の言い表せない思いや無念さが形をとって表れたのが幽霊や妖怪なのかもしれません。著者の本業は時代考証学者であることから社会構造またそうした人たちの風俗や社会生活に関する正確な知識を駆使して、話しの流れを途絶えさせることなく主人公の身分や生活の様子また服装など当時の社会の情況が細かく正確に説明されている点が類書と異なった特色となっています。学者の書いた固くるしい本のように思われますが、少々艶っぽい話のものもあったりと楽しめながら、時代劇などで見慣れた風俗言葉などを改めて見直すいい機会になる本だといえます。
 仕事の合間に楽しみで書き溜められた物語50篇がなく亡くなられた後に発見され、その中から21篇が選ばれています。