本 の 紹 介

1.人を殺すとはどういうことか 〜 長期LB級刑務所・殺人犯の告白
美達 大和 著  新潮社  1470円



 恨みから、偶発的に、むしゃくしゃ気持ちを晴らすために、命令されてなど人を殺す事情にはいろいろあると思います。ただ最近は訳の分からない殺人事件が多いようですが、事件そのものに関心はあっても、新聞の書評でこの本を知るまでは、殺人を犯したその人の感情に関心を持つことはありませんでした。著者は二度殺人事件を起こして無期懲役で服役中です。殺人事件で服役中の囚人から殺人に対する考え方やその後の反省の感情の動きを報告しています。
 自分の殺人については、「私はけして無感情でも情勢欠如でもありませんが、正しいか正しくないか、相手にこちらの権利や領域を侵害する理由があるかないかで行動を判断します。事件当時は理は私にあると考えていたので、行動において迷うことはありませんでした。」と述べ、犯行あたっても冷静で、2度目は、「尿失禁、チアノーゼ、顔色の土色への変化、瞳孔散大等兆候があり、死亡時刻も時計で確認しています。」と述べています。著者の知能指数はずば抜けて高く、頭脳と行動力が悪い面で一致して発揮された例かもしれません。他の囚人については、殺人を犯しても反省のない者が大半で相手がそこにいたのが悪いと責任転嫁し、更生の余地はなく、一部の囚人を除けば「来るべくしてここへ来たとしか言いようのない状態です。」と述べています。
 全ての犯罪者はここで紹介されている状態と大差がないとすれば背筋が寒くなる思いがします。