本の紹介


1.人は何のために「祈る」のか 〜 生命遺伝子はその声を聴いている 
村上和夫・棚次正和  祥伝社   1600円

 「奇跡がこの世に存在するのか」、と聞かれれば、 宗教を信じている人は「ある」と答えるでしょうし、信仰を持たない人は、「ない」よりも「分からない」と答える人が多いのではないでしょうか。ルルドの奇跡は有名ですが、誰にでも奇跡が現れるものでもありませんので、にわかには信じがたいといわざるを得ません。また、キリスト教の聖人に列せられるためには、奇跡を起こしていることが必要のようですが、これもこじつけとしかいえないかもしれません。しかし、そこには並みの人間には及びも付かない精神力があるはずです。いずれは聖人に列せられるマザー・テレサにしてもその行い自体、そうした行動の元となった意志自体が奇跡といえます。聖人凡人問わず、こうした一途な思いが神に向かったり、何か分からない力、サムシング・グレートに向かうことが祈りと考えても良いのではないでしょうか。そうした一途な祈りが回復不可能な病気の治癒へと結びつくのかもしれません。その原理を、この本は、祈りが遺伝子に作用し、治癒の遺伝子をONにすると説明しています。遺伝子レベルで全ての人類が目に見えない何かで繋がっているネットワークを想定しています。確かに、電話しようと思っていた相手から電話がかかってきたり、虫の知らせといった不思議な体験をしたことがある人は多いと思います。こうした現象をユングは共同的無意識と名づけていますが、この本ではDNAの共振現象と捕らえています。世界的なDNA学者と宗教学者の仮説ですが、「祈り」をいま一つつかみきれない私にとってはこうした遺伝子工学の立場からの説明は素直に心に入ってきます。ビッグバンで生じた世界に存在するものは全てどこかで繋がっていると考えるのが自然なのかもしれません。