本の紹介


1.「風歩」   森山風歩著   講談社   1500円

 子供への虐待のニュースを聞いても最近では特別の感慨もなくなったというか当たり前のこととして受け取ってしまうような気がします。この本の著者は、小学校3年ごろから進行性筋ジストロフィーの症状が出始め日常生活に支障が出ながらも家族から病気ではないかとの心配もされず怠けていると虐待を受け続け、また学校でもいじめにあい、中学2年で学校でのいじめにより怪我をしたことから進行性筋ジストロフィーと診断が下された27歳の女性です。
 「人生に行き詰った人間が稀に「死」というものを選んだりする。/あたしは死を求めたことはなかった。だって、人間の痛みは死んだところで解放されるほど甘くはない気がしていたから。きっと魂はずっと覚えている。そして、生まれ変わってもその経験は遺伝子の何処かに組み込まれる/・・・とすれば、私が過去幕から開放されることはない。」との思いで生き続けてきたこれまでの生き様を赤裸々に語った自伝であり、思索の記録です。
 余命を意識せざるを得ない立場におかれ、14歳のとき死ぬ日を決めて、百年生きるとして、50年生きるとしたら・・あと10日で死ぬとしたらとして、それまでにしたいことを文章に書き記したことから、「死を考えること」によってより充実した生き方が出来るようになったといっています。
 平々凡々と怠惰な日々を送っている間に気力も失せ、年をとったからとの言い訳をしないためにも、何時「死」が訪れても後悔しないように、充実した「今」を生きていかなければとの思いを新たにしました。