本の紹介


1.生活保護VSワーキングプア   大山典宏著  PHP新書  756円

 生活保護という言葉は良く聞きますが、生活保護の世界とはどのようなものなのかまったく知らないというのが現実ではないでしょうか。生活保護の中には医療扶助の制度があり、該当する人は生活保護の指定医療機関で治療を受けることが出来ます。しかし中には指定を受けていない医療機関もあり、理由を聞くと「ベンツに乗ってくる胡散臭い制度だから」という話を聴いたことがあります。こうした悪用した話を聴くことが多い一方で、生活保護を受けるのを拒否したり、行政から拒否されて餓死をしたという話も少なくはありません。誰でも知っている制度ですが、その内容また実態については何も知っていない制度について解説したのがこの本です。
 著者は、ワーキングプア、ネット難民やニートに該当する人たち全員が将来生活保護を受けるとすれば10兆1500万円の費用がかかり、これは自由に使える国家予算の6分の1の額に当たると試算しています。全ての人がそうなるわけでもないでしょうが、リストラは未だに続いており、昨年の希望退職の募集に応じた状況を見ると三菱UFJニコスの2483人、日本ビクターの1399人、パナホーム1086人といった状況があります。これらは氷山の一角でしょうからどれだけの人がリストラの被害にあったのでしょうか。一流企業の年齢の高い人たちを除けばワーキングプアに該当していく人も少なくはないと思います。
 ケースワーカーとしての経験またウェッブサイト「生活保護110番」の主催者として接してこられた実例をもとに分かりやすく解説されています。また、行政の実務家としての立場、弁護士の立場、報道機関の立場それぞれの立場からの見方の違いなどにも触れられており面白い本でした。