本の紹介


1.バンカ−、そして神父〜放蕩息子の帰還    谷口幸紀著   亜紀書房

 人にはいろいろな生き様がありますが、それぞれそれなりの問題を抱えながらも特別波風も立てずに過しているのが普通でしょうが、中には運命に翻弄され苦しい人生を送る人もいます。ヤクザ家業から一転牧師さんに変身した人も沢山います。この本の著者も題名にあるように特異な人生を送ってこられた方で50歳半ばにロ−マで司祭叙階を受けられています。
 これまでに過してきた人生を通しての神との関係を述べられたもので著者の信仰告白といってもいいのではないでしょうか。純粋培養的に司祭になられた方の話とはまったく違いどろどろした生臭い話も沢山出てきます。
 この本は大雑把に言えば3つの軸が絡み合っています。一つは、中学で洗礼を受け司祭を目指しながら博士課程在学中大学紛争に関係したことから追放処分にあい、実業の世界から神の世界に戻りかけたところで修道院から追放され、やむを得ずロ−マに渡り勉強し司祭叙階を受けたこと。二つ目は、第一回目の追放をきっかけに外資系金融機関に職を得、ドイツ、アメリカ、イギリス等の会社を舞台に50億円程度の商売はゴミという感覚で仕事をしていた世界です。この世界のことを、お金の神様に気に入られようと火に焼けた鉄板の上で同僚との競争に負けまいとダンスをしている世界と説明されています。三つ目が、精神疾患を患っておられた妹さんの看護のことです。この三つが軸として展開されています。当然、神や悪魔のことまた聖書の言葉など信仰がらみの話も沢山ありますが抹香臭いこともなく、キリスト教に関係のない方も興味深く読むことが出来ると思います。