本の紹介


1.巷説百物語シリ−ズ    京極夏彦著   角川書店

 この夏前に硬い本ばかり読み続けて疲れていたところに、京極夏彦の「後巷説百物語」が出版され、妖怪もので気晴らしにちょうどいいと思い読んでみました。面白いスト−リ−の展開に翻弄されながらも、ただ面白いだけではなく、説話物語といってもいいような結末にため息をつきながら、ついつい引き込まれてしまい、このシリーズ全て読んでしまいました。

 出版順に「巷説百物語」「続巷説百物語」「後巷説百物語」「前巷説百物語」の四冊が刊行されています。それぞれ数編の物語から構成されており、「果たせぬ想いや遣る瀬ない気持ち,怨みつらみ妬み、悲しみや憎悪まで、有りと有らゆる辛い現実が,凡て化け物の仕業となって円く収まってしまう」というお話です。時代背景は江戸時代ですが、「後巷説百物語」だけは江戸から明治に移ったころの話で少し登場人物が替わっていますが、話の構成は同じです。これ以外の江戸時代の話には、白装束のお札売り姿で黒も白と言いくるめてしまう話術が巧みな小股潜の又市を中心に、戯作者志望の山岡百介や派手な江戸紫の着物に草色の半纏をまとって登場する傀儡師で粋な美人の山猫回しのおぎんやその他一癖もふた癖もある一流の技術を持った人物たちを中心に、法律的には裁くことが難しい事件やあだ討ち事件などを妖怪の仕業とする手間ひまかけた仕掛けをして解決していきます。どれだけ時間をかけたのかと思うほど巧妙に仕掛けられたカラクリに驚かされながらも、一方では、山猫回しのお銀さんの粋な姿を想像しながら読んでいくのも楽しみの一つでした。