本の紹介


1.雇用融解    風間直樹 著         東洋経済新報社   1,600円
2.ワ−キングブア NHK「ワ−キングプア」取材班・編 ポプラ社   1,200円

 格差の問題はさまざまな人が本を書いたり、発言をしています。しかし、それぞれの立場からする発言で必ずしも論点が一致してはいませんので、何が問題なのか分かりにくいところがあります。私にとって格差とは、仕事柄、多様な働き方に対応が遅れている雇用保険や社会保険などの制度的な面に感心が向いてしまいます。そういったことからすると、いろいろな格差関係の論文を集めた文春文庫の「論争 格差社会」を読んで論点を整理しておく必要があるかもしれません。

 パ−ト、派遣、請負、契約社員など多様な働き方があるのはいいことかもしれませんが、そうした人たちの生活がどうなっているのかまではなかなか分かりません。ただ、相談があった事例から垣間見る程度でしかありません。ここにあげた二つの本はそうした雇用の現場の実態を赤裸々に報告しています。バブルがはじけた結果、学校を卒業しても正社員となることができなかった人たち、リストラにより計画が来るつた人たち、また医師、教師や介護士などの正規労働者であっても生活設計も立たない過酷な状況で働かされている様子を雇用融解という表現であらわしています。しかし、こうした状況は明日は我身かもしれません。つい先日も、(株)西友が450名(5%)、日本ビクタ−(株)が1150名(18%)の早期退職募集を実施しています。日本の賃金が高くなりすぎ、中国・東南アジアの国々が力をつけてきつつあるからともいえますが、テレビで大食い番組を見る都度これらの本で紹介されている実態をあわせて考えるとこれは最後の饗宴かとも考えてしまいます。