本の紹介


1.遠距離交際と近所づきあい 〜 成功する組織ネットワ−ク戦略    西口敏弘著 NTT出版 2800円

 本の題名だけを見ると良くある中身の無いハウ・ツ−ものに思えますが、そうした体の本ではなく経営組織論の専門家が、フィ−ルド・ワ−クに基づき過去に発表してきた論文をベ−スに一般向けに書き下ろしたものです。はしがきで、「いわゆる運がよい人や成功しつづける組織をよく調べてみると、宝くじを当てるように幸運が降って湧いたわけではなく、「運が構造化している」ことが分かる。人や組織の運は、実はそれを取り巻くネットワ−クのトポロジ−、つまり、隣の友人や遠くの知人(ノ−ド・結節点)と、ネットワ−クを通してどのようにつながっているかという、構造特性に依存する部分が大きい。重要なのは、あなたが直接、誰を知っているかよりも、その誰かがあなたの知らない誰かを知っており、その人がさらに、他の誰を知っているかということなのだ。しかも、五感でとらえられる範囲しか分からない人間固有の認知限界によって、本人たちはそのことに気がつかない。だから、これは運だと錯覚する。/ところが、実際に意識しなくても、成功する人や組織は、遠距離交際と近所づきあいの、絶妙なバランスをとりながら活動している場合が多い。濃密な近所づきあいを維持しながら、他方では、いくつかの触手をはるか遠くへ伸ばし、情報伝達経路のつなぎ直しをして、通常ならけっして結びつかない遠距離のノ−ド(結節点)とも、短い経路でつながっている。そこで得られた冗長性のない情報を、巧みに利用するのである。」と要点をまとめています。  これの実証として、中国・温州人の世界的なネットワ−クトのシステム、トヨタの生産システム、英国の防衛調達庁の組織改革などいろいろなシステムの紹介をしています。私たちが、会社の組織の見直しを考える場合にとどまらず、日常生活をする上においても著者がこの本で紹介しているネットワ−クシステム論は大いに参考になるといえます。