本の紹介


1.脳障害を生きる人びと 〜 脳治療の最前線     中村尚樹 著  草思社 1,800円

 脳障害には生まれつきの障害また交通事故などによる後天的な脳障害とがありますが、この本が扱っているのは、後者です。私の先輩が、早朝、自転車で出勤する途中、トラックに衝突され脳死状態となってしまいましたが装置が付けられ生きているようにみせられていました。一方、外見的には同じように見えても自分で呼吸し、生きている植物状態という症状もあります。この本は、植物状態となっても意識があること、また家族の必死の介護があれば意識も戻ることがある例を第1部「知られざる現実」としてとして紹介しています。そうした現実に対して第2部では「脳障害を乗り越えて」として脳治療の最前線またリハビリなどの状況、また脳ドックの問題点など指摘しています。
 ただ怖さを感じたのが、植物状態となり一定期間を過ぎると退院を迫られ、意識もないし、二度と動くことも無いのだから足を切断すればあと3ヶ月は入院していることが出来るとの医師の話があったとき、既に意識が戻って聞こえていたということでした。脳治療の専門家といっても、お金の計算はできても、どこまで医療のことが分かっているのか疑問を感じざるをえません。以前、交通事故で入院した子供に味覚障害があり、友人の放射線科の先生に話すと脳挫傷があるかもしれない。CTでは見えないのでMRIをしてもらうように指示され、院長に話すと必要ないので、やりたければ退院してその先生のところでやってもらえ、といわれました。しかし、退院間際、その病院がなにを思ったかMRIを実施し脳挫傷があることが分かりました。病気や障害を負ったとき、医師を信頼することも必要ですが、私たちも勉強しなければ取り返しのつかないことになるのが現実かもしれません。