本の紹介

1.押入れのちよ      荻原 浩著      新潮社   1500円
2.わたしを離さないで   カズオ・イシグロ著  早川書房  1890円

 小学生のころ夏休み入ると海に山に遊びまわっていましたが、この時季では怪談話、お化け屋敷また肝試し等いろいろ楽しいことがありました。映画も四谷怪談、吸血鬼ドラキュラなど楽しみとしていました。最近は、こうした背筋が寒くなる話も少なくなってきました。というか日常的に悲惨な話が多すぎからかもしれません。親子間の殺し合い、全く理由の分からないような事件など・・。背筋も凍えるではなく、「またあった。」という時代では、怪談話はもう成り立たなくなってきたのかもしれません。ここに紹介した、「押入れのちよ」も古きよき怪談話の部類に入るかもしれませんが、「老猫」はペット全盛時代を、「介護の鬼」は老人介護の現実を抉り出している面もあるかもしれません。短編集なので気楽に読めますし、またぐいぐい引っ張り込まれ、疲れた身体と頭をリフレッシュするのに最適の一冊だと思います。
 「わたしを離さないで」はなんと言ったらよいのか、話の筋が分かってしまえば面白さも半減してしまうと思います。所々の何気ない会話の中の一言にギックとさせられ主人公たちの置かれている状況が少しずつ見えてきます。もし、将来的には可能性がないとはいえないと思いますが、これが現実に可能となればあなたはどのように考えられますか。背筋が寒くなる内容が、始めから終わりまで、非常に静かな、抑制のきいた文体で展開をしていきます。