本の紹介

1. 壊れる男たち 〜セクハラはなぜ繰り返されるか〜
金子雅臣著   岩波新書 740円
                       

 セクハラに関して雇用管理上注意すべき点については、平成10年に当時の労働省から指針がでており、各事業所ではこの指針に基づいてセクハラのない職場環境づくりがなされてきているはずですが、未だに解消されているどころかむしろ増加傾向にあると著者は報告しています。こうした状況を受けてかどうか分かりませんが、セクハラにより精神障害を労災認定するとの指針が昨年12月に出され、函館労基署は平成16年には却下した事例をこの指針に基づいて再度見直し今年の1月に労災認定しています。
 概念的にはセクハラとは何か理解できますが、その実態、またセクハラする側の精神構造についてはよく分からないというのが現実だろうと思います。この本は東京都の労働相談担当としていろいろな事例を扱った著者が実例をもとにセクハラする男の精神状況をさらけ出しています。著者は、加害者である男性からの相談が増えていると書いています。それも加害者としての意識からではなく、自分がセクハラの加害者として訴えられている理由が理解できないとのことからだそうです。ある加害者は「もちろんセクハラは知っていますよ。この場合「意に反している」についての判断は難しいと思いますよ。彼女たちの意に反しているかどうかは、わからないじゃないですか。」といっています。この人物に対して、その会社の人事部長は次のように言っています。「今回の件だって、派遣会社からの苦情を伝えてあるのに、これですからね。役員レ−スに負けて、窓際に追いやられている悲哀も、同じサラリ−マンとしてわからないではないのですが、何せモラルダウンがひどすぎる。バブル時代の後遺症というんですかな。自分たちが、飲ます抱かすで商売をやってきているので、その習性が変えられない。」
 こうした事例を通じてセクハラをしていることが分らない精神構造を解説しています。