本の紹介

1.知床に生きる〜大船頭大瀬初三郎とオホ−ツクの海
立松和平著   新潮新書 680円
                       

 訥々とした語り口の話す立松和平さんをテレビで時々見かけるのですが、本を読むのは初めてでした。文章もその通りで無駄のない簡潔な文体で、知床の自然を大瀬船頭から20年にわたって聞いた事柄を通じて知床の自然を紹介しています。広島・女満別間の直行便が開通した月に大学時代の後輩に網走からシャリ・ウトロ・羅臼・野付と来るまで案内してもらいました。北海道の雄大さを感じるとともに、ウトロから羅臼に向けての横断道路で見られた異様な形をした樹木を見て知床の自然の厳しさを感じました。また、羅臼の海岸から国後島を見て、この中間に国境があると聞いて日本にも国境がある、それもすぐ目の前にあるときいてびっくりしました。子供のころから漁船が拿捕されたとのニュ−スは聞いてきてはいましたが、それは遠くはなれた海の中としか感じていませんでしたから・・。知床が世界遺産に指定されたのも特殊な自然環境が残されていることとともに自然と共棲している人たちが居るからだとこの本は教えてくれると思います。「今まで通りにしていて世界自然遺産になるならよいことだけれども、海岸に船で下りてはいけないとなったら、漁はできないので、反対しますよ。そもそも漁師は海の自然を守らなければ生きてはいけないものなのだ」と先導は語っています。また、知床横断道路の道端に座っているみすぼらしいキタキツネを見ました。観光客がえさを与えた結果だといいます。人間が自然破壊してしまったのでしょう。世界遺産に指定されて知床の自然にしたがって生活してきた命ある全てのものが犠牲にならないように祈ります。